採用戦略とは?戦略の立て方と有用なフレームワークを紹介。

採用戦略(計画する)

採用を始める上で行き当たりばったりの採用は費用対効果が悪くなります。そのために、必要なのが採用戦略です。

採用戦略をするためには、人材市場の分析や競合分析を実施して、自社の立場を相対化する必要があります。さらに、そこから採用ターゲットやペルソナを明らかにしなければ、効率的な採用活動を行うことができません

そこで、この記事では採用戦略について立て方や有効なフレームワークについて解説していきます。

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採用戦略について

ここでは、記事の主題である採用戦略の大前提についての理解を深めて行きます。

採用戦略とは?

採用戦略とは、企業や組織が適切な人材を見つけ、雇用して維持するための計画や方法のことを指します。

採用戦略では、下記のような内容を決定することで実行に移されます。

  1. 採用したい人材の求めるスキルや労働環境を定義する
  2. 欲しい人材を効果的に魅了し選考するプロセス
  3. 採用した人材を育成する計画

採用戦略は、組織の目標やカルチャー、業界動向、労働市場の状況(売り手市場or買い手市場)に合わせて設定する必要があります。

企業にとって、効果的な人材確保が競争上の優位性を生む可能性を持っています。ですので、採用戦略はしっかり考え抜かれている必要性があります。

採用戦略をしっかり固めることで、採用のミスマッチ等が起こりにくくなります。ミスマッチが起こると組織内の士気も下がるのでデメリットが大きいです。

採用戦略とは?
  • 企業や組織が適切な人材を見つけ、雇用して維持するための計画や方法のことを指します。

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採用戦略と人事戦略の違い

採用戦略は、適切な人材を見つけて雇用するための方法に焦点を当てています。

一方、人事戦略は、従業員の管理、育成、報酬、キャリア開発など、組織内の人材全体に関する広範な計画です。

採用戦略は人事戦略の一部として機能するべきです。そのため採用戦略は人事戦略との一貫性を持っているべきなのです。

採用戦略の立案の流れ

採用戦略立案に向けた具体的な動きについて解説して行きます。

採用戦略策定までの流れ
  1. 自社の現状の分析(WHO)
  2. ターゲットの決定(WHOM)
  3. 採用目標の決定(WHY)
  4. 採用手法と採用チャネルの選定(HOW/WHERE)
  5. 要員計画と採用予算の決定(HOW MUCH/MOW MANY)
  6. 採用戦略の実行プランの策定(WHEN)

事業計画や人事戦略の確認

採用戦略は、社内の「ヒト」全体をつかさどる人事戦略に内包される領域です。 ひいては、事業戦略、経営戦略の肝となる戦略です。

人材の開発、維持、報酬、キャリアパス、多様性と包括性など、自社の人事戦略の主要なポイントについて把握が必要です。その上で、人事戦略上で必要とされている人材ニーズについての理解を深めて行きます。

採用戦略は、人事戦略との整合性が取れていることが必要になります。そうでないと、自社の経営上の目的と乖離した動きが起こってしまいます。

採用市場と自社の現状分析の実施

事業計画や人事戦略の確認ののち、自社外に目を向ける必要があります。それが採用市場と自社の現状分析です。自社を相対化して分析する意味でも、採用市場と自社の関係性について理解を深めることは新たなインサイトを得るきっかけにもなりえます。

3C分析(自社・競合・市場の状況整理)

3C分析を進めておくのも有効です。3C分析とは、下記3つの視点で自社の立ち位置を可視化する手法です。

3C分析の3つの「C」
  1. Customer(市場・顧客)
  2. Competitor(競合)
  3. Company(自社)

採用市場を知るために顧客(求職者)分析をおこないましょう。ただそれだけでは不十分です。

自社の競合の取り組みについて理解しておくことで、真似るべき点や真似できない点などの理解が進みます。さらに、競合や顧客の中で自社がどのような位置付けにあるのかは、自社を新たな視点で見るきっかけになります。

SWOT分析(自社の採用力の深掘り)

採用戦略におけるSWOT分析は、組織の人材採用における下記のポイントについて分析を行うフレームワークのことです。

SWOT分析の項目
  1. 強み(Strengths)
  2. 弱み(Weaknesses)
  3. 機会(Opportunities)
  4. 脅威(Threats)

SWOTとは上記の4点の頭文字を取って名付けられました。まず、自社にとっての採用面での強みや弱み、機会、脅威をワークショップ等を行い炙り出します。

これにより、採用戦略が自社の性質に則った実現性のあるものになります。SWOT分析は参考までに取り入れてみてください。そして、このSWOT分析を通して、戦略の目標やテーマが決まってきます。

採用目標の設定:SMART目標

採用目標とは、組織が特定の期間内に達成しようとする具体的な採用に関する目標です。これらの目標は、組織の人材ニーズ、ビジネス戦略、成長計画に基づいて設定されます。

その際に気をつけるべきポイントをまとめたフレームワークとしてSMART目標があります。SMART目標は、下記のような5点の頭文字を取ったものです。

SMART目標とは?
  1. Specific(具体的): 明確かつ具体的な採用目標を設定。
  2. Measurable(測定可能): 目標達成を測定できる指標を確立。
  3. Achievable(達成可能): 実現可能で挑戦的な目標を設定。
  4. Relevant(関連性): 組織の全体的な目標と関連する目標を設定。
  5. Time-bound(期限付き): 目標達成のための明確な期限を設定

これらを加味することで、実現可能性を加味した上での目標を策定することができまます。その上で、

採用ターゲットと人材要件の決定

採用目標が決まった場合、その目標を実現する採用ターゲットを決定します。さらに採用ターゲットを具体化するために人材要件やペルソナ像を明確にして行きます。

採用ターゲットとペルソナの決定

自社で活躍できると想定される人材のことを採用ターゲットと言います。自社が求めるスキルや人柄をもった人材を具体的に言語化したものです。

採用ターゲットが、採用戦略策定後の採用活動における軸になるので、ここをぶらすとその後の戦略実行において大きな障害となる可能性があります。慎重に決定しましょう。

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人材要件とは?設定するステップや注意点を解説

人材要件策定とペルソナの作成

採用ターゲットが決まったら、具体的な人材要件の洗い出しと、ペルソナの作成に移ります。

人材要件とは、人材要件はスキルや経験、人柄や特性、仕事に対する意欲など、「こんな人材が欲しい」という希望を多角的に定義したものです。具体的には下記のような職歴や学歴に関する内容になります。

  1. 専門的スキル: 職務を遂行するために必要な特定の技術や知識。
  2. 経験の年数: 特定の役割や業界での作業経験。
  3. 教育レベル: 必要とされる学歴や専門的なトレーニング。
  4. 特定の資格: 職務を遂行するために必要なライセンスや認定。

一方で、採用ペルソナは採用ターゲットの趣味や嗜好等の人間的な部分を具体化したものになります。採用ペルソナと人材要件を組み合わせることで、採用したい人材像を具体化することができます。

ただ、採用ペルソナも人材要件も現実離れしたものではなく、より現実に即したものにしましょう。そのためには、ターゲットとなりうる人物へのヒアリング調査等を実施しておく必要があります。

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採用においてペルソナを設定するメリットと決め方を解説

採用する人数の決定と予算の決定

採用目標が決定したら、下記の2点のレベルに落とし込んで行きます。

  1. 要員計画の策定
  2. 採用予算の策定

要員計画と予算の決定は、採用戦略の効果を最大化するために具体的な数値に落とし込んだものです。

要員計画の決定

要員計画とは、事業計画、経営戦略から「どこに、何人、どんな人材が必要で、どうやって集めるか」を計画することを指します。

そこで、各部署にヒアリングを実施しながら、「どこに」、「何名」の人材の採用が必要なのかを洗い出して行きます。また、部署からの要望を鵜呑みにするのではなく、全社的な観点から人員数を洗い出す必要があります。

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採用人数を決める際に必要な「要員計画」の運用方法とは

採用予算の決定

要員計画とともに、それにかかると想定される採用予算を決定して行きます。採用コストは基本的に下記の方程式で決定されます。

  • 一人当たり平均採用単価×採用人数=採用コスト

さらに、その際に採用コストを投入することで、自社にどれだけの利益が残るのかというROI(費用対効果)を得られるのかについても理解をしておきましょう。

次で説明する採用手法やチャネルに何を使用するかで必要な予算感は変動してくるので、あわせて検討して行きましょう。

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一人当たりの平均採用コストはどれくらい?コストを抑える方法を紹介

採用チャネルと手法の選定

要員計画や採用にかける予算と合わせて検討するべきが、採用手法と採用チャネルについてです。

大前提として、採用手法には外部サービスの活用と自社による採用の2パターンがあります。

具体的には外部サービスであれば採用エージェントや求人広告等の手法があります。一方で、自社採用であれば、リファラル採用やオウンドメディア集客等が想定されます。

さまざまな採用手法が想定される中で、要員計画や予算の中で実現可能かつ最大の効果が獲得できる方法を選択して行きます。

また、採用手法やチャネルについての整理と、要員計画や採用予算は往復をしながら実現性が高く説得性のあるものになって行きます。

戦略の実行プランとスケジュールの策定

採用チャネルや手法と予算について決定したら、目標達成に向けてのスケジュールとプランを策定する必要があります。

会社説明会・選考期間・内定者研修期間などを個別に区切り、逆算してスケジュールを作っていくとわかりやすいです。

採用戦略の実行上で気をつけるべきポイント

ここでは、新卒の採用戦略を立てるときのポイントを解説します。採用戦略は、大まかなスケジュールや予算を決めるだけでは不十分です。

自社にマッチする人材を見つけ、長期的に働いてもらうためにも、下記の要点を押さえておきましょう。

採用戦略を全社で共有し部署間コミュニケーションを実施する

採用戦略は経営者や人事部のみに留めず、全社に共有するのがおすすめです。自社がどんな人材を求めているのか、入社後にどのような研修をしているのか共有しておくことで、受け入れ態勢が整います。

既存社員からの紹介を前提とする「リファラル採用」を導入する際や、現場の社員を面接担当者として起用する場合には、とくに意識しておきましょう。

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リファラル採用を活用するメリデメと成功させるポイントを解説。

採用戦略を十分に理解していないと、ミスマッチが起こるおそれがあるため注意が必要です。

効果測定を実施しPDCAサイクルを回す

採用戦略を実行する 採用チャネルのパフォーマンスを測るための指標(応募数、採用率など)を設定します。
継続的なモニタリング: 採用プロセスを継続的にモニタリングし、必要に応じてチャネルを調整します。

採用戦略の内容と結果のデータを保管し、施策後の見直しに活かしましょう。どのような施策で、どの程度の予算・採用人数になったのかを可視化できれば、PDCAサイクルを回しやすくなります。

また、採用した人材の成長度合いや早期離職の割合など、入社後のデータと紐づけることも効果的です。翌年度以降の採用戦略づくりに活かすことで、年度が進むごとにミスマッチを是正していくことができます。

育成を視野に入れた採用戦略にする

新卒採用は、中長期的な人材教育を前提とします。「人手不足を一時的に解消するため」「即戦力を求めるため」の採用手法ではなく、長い目で見て経営戦略に合致する人材を採用することが重要です。

そのためにも、入社後の育成計画も視野に入れた採用戦略を立てるようにしましょう。

そのため、即戦力ばかりの採用に偏るのではなく、ポテンシャル採用や幹部候補人材等の育成を前提とした採用にも力を入れて行きましょう。

新卒や第二新卒、優秀な即戦力採用なら「社長メシ」がおすすめです。

まとめ

新卒採用の際は、経営戦略と合致した採用戦略を立てることが重要です。採用チャネルの選択やアウトソーシングも含めて検討しておきましょう。

社長メシ」は、採用戦略に合致する人材に対しダイレクトな採用活動ができるツールです。食事会を通した相互理解から始められます。ミスマッチも少なく、採用側・学生側どちらにとってもメリットのあるシステムとして評価されています。

「将来的に活躍する人材を採用したい」「企業理念に共感してくれる求職者と出会いたい」と考えている担当者の方は、ぜひご検討ください。