目次
一人当たりの採用コスト相場について
最初に一人当たりの採用コストの相場について見ていきましょう。
新卒採用一人当たりのコスト相場
株式会社リクルートの就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年の新卒採用の平均コストは一人当たり93.6万円でした。
出典:「就職白書2020(就職みらい研究所)」(株式会社リクルート)
一般的に従業員数の多い大企業では新卒採用がシステム化されており、効率良く行うことができます。また、採用にかける予算そのものは多いですが、それ以上に採用人数も多いです。そのため、一人当たりのコストは低くなる傾向にあります。
これに対して、中小企業の場合、新卒採用は大企業のようにはシステム化されていません。採用人数も少ないため、一人当たりの採用コストで見ると高めの傾向にあります。
また、これまでは経団連が就活のルールを策定していましたが、2021年以降は政府主導で進めていくことが決定されています。
そのため、一定期間で新卒を採用する一括採用が廃止され、通年採用に変わる可能性もあるでしょう。それにともない、採用コストの相場も変わってくるかもしれません。
中途採用一人当たりのコスト相場
上記で述べた「就職白書2020」において、中途採用の場合、2019年の一人当たりの平均採用コストは103.3万円でした。
新卒採用と比べて10万円程度高い金額ですが、中途採用の場合には、特定のスキルや経験などを重視して採用活動を行うことが多いです。新卒採用と比べてマッチする人材を採用するのが難しく、その分コストも多くかかってしまいます。
中途採用でもスキルや経験をあまり重視しないポテンシャル採用なら、比較的コストを抑えられるでしょう。しかし、即戦力を求めるとどうしてもコストが多くかかってしまいます。
今後の採用コスト推移
一人当たりの採用コストは、新卒採用も中途採用も増加傾向にあります。「就職白書2020」によると、新卒採用も中途採用も2019年より2018年のほうが低コストでした。
2018年は新卒採用が71.5万円、中途採用は83.0万円だったため、いずれも約20万円増加したことになります。
今後も少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で有効求人倍率の増加が見込まれており、引き続き採用コストが上がっていく可能性が高いでしょう。
新型コロナウイルスの影響で採用活動のWeb化が進んだことにより、採用コストが下がる例も多く見られるようになりました。「就職白書2022」によると、採用活動のWeb化により採用活動費用削減につながった企業は66.4%に達しています。コスト上では大きな変革といえるでしょう。
ただし、Webによる採用活動は、対面に比べてコミュニケーションが取りにくい、企業の魅力や学生の人柄が分かりにくいなどの課題もあります。
採用活動のWeb化はさらに進むと予想されますが、対面施策も適宜取り入れながら進めていく必要があるでしょう。
採用コストを計算する方法
自社で一人当たりの採用コストがいくらかかっているのか把握していない場合には、計算をしてみる必要があります。
採用コストの計算式は以下のとおりです。
採用コスト=採用コスト総数(外部コスト+内部コスト)÷採用人数
採用にかかっているコストは、内部コストと外部コストがあり、それら両方を合計したものが全体の採用コストです。全体の採用コストを採用人数で割ることで、一人当たりの採用コストを算出できます。
外部コスト
外部コストというのは、採用活動を行うにあたって社外の業者などに支払ったコストのことです。
たとえば、求人媒体に求人広告を出稿した際、求人広告掲載費を支払っています。これが外部コストの代表的な例です。
また、会社説明会を行うときに会場を借りるでしょう。このときに支払う会場費も外部コストです。求人パンフレットや求人サイトなどを作るときに、外部の業者に制作を依頼すれば、その制作費も外部コストに含まれます。
さらにダイレクトリクルーティングなどを行うときのサービスの利用料も、外部コストです。
内部コスト
内部コストとは、会社の内部でかかるコストのことを指します。たとえば、担当者の人件費やリファラル採用のインセンティブなどです。いずれも自社の社員に支払うことになるでしょう。
応募者が面接に来るときの交通費や宿泊費などを負担する場合も、内部コストに含まれます。
自社のコストをしっかりと把握するためには、新卒、中途、アルバイトに分けてコストを計算することが重要です。雇用形態別に選考から入社までのコストを把握することで、採用マネジメントに役立つでしょう。
内部コストは、かけた費用に見合った成果が得られているかが重要です。採用プロセスのどの段階でコストを要しているのか内訳を精査し、効率的でない部分は改善しましょう。
採用コストを抑えるための6つのポイント
ここでは、採用コストを抑えるための方法を紹介します。
1.早期離職の防止
せっかく採用した人材が内定辞退してしまうと、その分のコストが無駄になってしまいます。さらにコストをかけて、別の人材を採用しなければなりません。
また、入社に至った場合でも早期離職してしまうケースがあります。この場合には採用コストに加えて、研修などにかかる育成コストも無駄になってしまうでしょう。
そのため、内定辞退や早期離職を防止することが、採用コストを抑えることにつながります。早期離職は、採用時のミスマッチが原因であるケースが多いため、できるだけミスマッチを減らすことが重要です。
たとえば、先輩社員との交流会を実施するなどの対策が挙げられます。自社サイトに、業務内容や雰囲気が分かるようなコンテンツを、掲載するのも良いでしょう。
2.採用手法の見直し
外部コストの見直しとして、実施している採用手法が適切かどうか再考しましょう。特にコストが大きくなりやすい求人広告媒体や人材紹介サービスを見直すと効果的です。
求人広告媒体の見直し
求人広告媒体を利用していても十分な応募や採用に至っていない場合には、媒体の見直しが有効です。
多くの人材に届くように求人広告を掲載しようとすると、それだけコストもかかります。登録者数が多い媒体であっても、自社の採用ターゲットが利用していないと成果につながりません。
媒体の特徴や強みを把握した上で、自社に合った媒体や契約プランを選択しましょう。登録者の層や活動状況は、媒体の担当者に確認することをおすすめします。
人材紹介サービスの見直し
人材紹介サービスを利用して採用した場合、成功報酬として年収の約2~3割の費用を支払います。
人材紹介サービスは、即戦力やスキルの高い人材を採用するには効率的で、結果的に採用コストを抑えられることが多いです。しかし、応募の多い職種や経験が問われない職種など、採用ターゲットによっては通常の求人広告でも問題なく採用できる可能性もあるでしょう。
採用コストを抑えたいなら、採用難易度や工数を比較しながら、人材紹介サービスと求人広告を使い分けることをおすすめします。
3.内部コストの見直し
採用業務の進め方が非効率で、余分な人件費がかかっていることもあります。そのため、社内の人件費や採用マニュアルの見直しも行ってみましょう。採用活動の効率が良くなり、コスト削減につながることもあります。
また、採用マニュアルは何年もそのまま使用するのではなく、年度ごとに見直すことが大切です。学生や求職者の動向に合わせて改善を重ねることで、より効率良く採用活動を行えるでしょう。
また、採用活動のWeb化で費用を削減できることもあります。
対面ではなくオンラインで説明会や面接を行えば、会場の費用はもちろん、担当者の交通費や宿泊費の削減につながります。移動の時間も必要なくなるので、業務効率化を実現でき、日程の調整もしやすくなるでしょう。
また、Web化により応募者の居住地域の制限がなくなり、従来の採用方法では接触できなかった優秀な人材を採用できる可能性もあります。
新型コロナウイルスの影響で、採用活動のWeb化は広く普及しました。今後もWeb化の流れは継続すると考えられており、コスト以外の理由でも対応は必須となるでしょう。
4.リファラル採用の導入
リファラル採用というのは、既存の社員から自社に合いそうな人材を紹介してもらう採用方法です。
紹介される人は既存の社員から、自社の雰囲気や仕事内容などについて、詳しく知らされた上で応募します。そのため、ミスマッチを防止でき、早期離職も減らせるので、採用コストの削減につながるでしょう。
また、リファラル採用なら一般に求人募集をかけることがないため、求人広告費がかかりません。紹介してくれる社員にインセンティブを支払う必要がありますが、求人広告を出すより少ない採用コストで済みます。
5.自社採用サイトの活用
就職活動をしている人の多くは、応募先企業の採用サイトをチェックしています。採用サイトを見て自社の雰囲気や業務内容が分かれば、その企業で働きたいと思ってもらえるでしょう。それによりスムーズに応募が集まれば、求人広告費も削減できます。
また、自社について詳しく知った上で入社してもらえるため、早期離職も防止できるでしょう。
自社採用サイトとあわせて、TwitterやInstagram、facebookなどのSNSでの発信も有効です。SNSを利用した採用活動をソーシャルリクルーティングといいます。SNS自体の利用料は無料のため、コストをかけずに採用活動を進めることが可能です。
ソーシャルリクルーティングのメリットは、求職者の企業理解が深まりやすいことです。画像や動画などを活用すれば、会社案内や説明会では知ることができない日々の業務や会社の雰囲気などが伝わります。DM機能などを利用して、コミュニケーション手段としても活用することも可能です。
さらに、拡散性が期待できるので、自社を候補としていなかった求職者にも検討してもらえる可能性も高まるでしょう。
SNSは情報収集にも有効で、採用ターゲットの興味や関心のある内容や、採用候補者について知ることにも役立ちます。
6.ダイレクトリクルーティングの導入
ダイレクトリクルーティングとは、採用したい人材に対して企業側からアプローチをかける採用手法です。
企業から直接気になる人材へコミュニケーションがとれるため、企業の魅力や強みを伝えやすいのがメリットです。
ダイレクトリクルーティングを導入するなら、社長メシがおすすめです。
社長メシは、企業と求職者が双方向でオファーを送り合うことができる、採用マッチングサプリです。
アプリ内で企業はイベント情報を掲載することで、求職者からオファーが届きます。社長や人事担当者は、オファーの中から会いたい人材を選び、食事会や会社説明会を通して、自社に合う人材がどうか見極めることが可能になります。
求職者からオファーが届くことから、一般的なダイレクトリクルーティングよりもマッチング率の精度も高く、ミスマッチも防止できるでしょう。
また、成果報酬ではなく、一律の料金プランでご利用できるため、採用コストを最小限に抑えられます。
採用コストの削減方法を模索しているなら、ぜひ社長メシの利用を検討してみてください。
まとめ
一人当たりの採用コストは、採用活動にかかった外部コストと内部コストの合計を採用人数で割ることで算出できます。採用コストが予想以上にかかっていた場合、これまでの採用活動のフローを見直すと良いでしょう。
採用コストを抑えるには、早期離職を防止したり、リファラル採用やダイレクトリクルーティングを導入したりする方法があります。
それぞれの採用活動の現状を踏まえた上で、自社にとって最適な方法でコスト削減を行うようにしましょう。