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サイレント辞退が生じる原因
サイレント辞退という言葉は、比較的新しい言葉です。インターネットの普及などによる採用方法の変化にともない、サイレント辞退が生じやすくなっています。まずは、サイレント辞退が生じる原因を見ていきましょう。
就職活動の簡易化
最近では、応募から面接までがオンライン化していることが多く、スマートフォンひとつで簡単に就職活動ができるようになりました。
提出書類もデジタル化し、従来のように手書きで書類を作成する手間もなくなり、求職者が一度に応募する企業数も増えています。
このように就職活動が便利になった反面、求職者が応募を気軽なものと考えてしまい、辞退する場合も改めて連絡する必要がないと捉える人がいるようです。
採用担当者や待遇への不満
面接時に話した内容やメールのやりとりなどから、採用担当者の対応に不満を抱いてサイレント辞退につながるケースもあります。
また、提示されている給与や待遇などの詳細を知り、不満をもちつつも企業側へ伝えられずにサイレント辞退してしまうケースもあるようです。
企業側によるオワハラの増加
近年、問題となっているのは、企業側によるオワハラです。オワハラとは「就活終われハラスメント」の略称で、内定承諾書をすぐに書くように圧力をかけたり、入社を強要したりする行為が挙げられます。
このように、応募者側が辞退の連絡を入れるとオワハラを受ける可能性があるため、サイレント辞退につながるケースが増えているようです。
また、企業側も不採用者には、連絡しないケースが増えています。これは「サイレントお祈り」と呼ばれており、応募者側にとっては次のアクションが取りづらくなることから敬遠されています。
別の企業からサイレントお祈りをされたことがある応募者にとっては、辞退するときは自分から連絡しなくても問題ないという考え方になり、サイレント辞退につながるケースもあるのです。
選考期間の変更
2017年卒の新卒採用から、新しい就活ルールが適用されています。この新ルールに伴い、選考解禁日も約2ヶ月短縮されました。
応募者側は、企業の情報収集はもちろん、自己分析やエントリーシートの作成など、準備が十分に整わないまま選考ステップに進むこととなります。
十分に入社の意思がないまま選考に進んで内定が出されるので、サイレント辞退へとつながるケースも多いです。
複数内定を保持する就活生の増加
景気に左右され、内定取り消しの不安や内定先を決めきれないことを理由に、複数の内定を保持する就活生が増加しています。
複数内定を保持することで、もともと志望度があまり高くない企業の場合は、最終的にサイレント辞退するケースも多いようです。
サイレント辞退しそうな応募者の特徴
サイレント辞退しそうな人には、大きく分けてふたつの特徴があります。あらかじめサイレント辞退につながりそうな特徴を知り、対処できるようにしておきましょう。
懇談会などの出欠確認連絡への回答が遅い
懇談会のような出欠確認の連絡を取る際、アンケート機能を利用している企業は多いです。そのため、本来であれば出欠を簡単に提示できます。
簡単な出欠確認で回答が必要以上に遅れている場合は、入社を迷っている状態に近いと考えられるでしょう。
懇談会に欠席する人が入社を迷っていると捉えられやすいですが、入社の意思がありながらもやむを得ず出席できない場合は、すぐに欠席の連絡が来るケースがほとんどです。
出欠で判断するのではなく、回答に必要以上の時間がかかっている人に注意しておきましょう。
懇談会や内定者研修での積極性がない
企業理解を深めてもらうことや内定者の不安解消を目的とした研修を開催した際に、積極性が見られない人は要注意です。
グループ内での発言が乏しく、他者とのコミュニケーションを取りたがらない人は、意欲がない可能性が高いといえます。
また、対面でなくとも内定者サイト内で投稿やコメントなどのアクションが極端に少ない場合も、入社の意思が低いと判断できるでしょう。
サイレント辞退を防ぐための4つのポイント
せっかく時間をかけて採用活動を行ってきた企業側からすれば、サイレント辞退によって優秀な人材を逃してしまうのは、どうしても避けたいところです。
応募者との信頼関係をしっかりと構築し、入社への不安や疑問を解消することでサイレント辞退を減らすことにつながります。これから紹介する4つのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
誤解や疑問がないか確認する
信頼関係を構築していくうえで、内定後だけでなく、選考中から応募者に対して丁寧なフォローが必要です。
サイレント辞退をする人の中には、誤解を持ったまま辞退してしまう人も少なくありません。誤解されたまま辞退されてしまうのは、企業側にとっても応募者側にとっても非常に残念なことです。
とくに、複雑でわかりにくい労働条件や業務内容に関しては、誤解や疑問、不安な点がないか積極的に接点を持って声かけをするようにしましょう。手厚く声かけをしていれば、不満がある場合も言い出しやすく、迅速にフォローできます。
また、待遇や賞与、残業時間など応募者側から確認しづらい部分は、企業側から積極的に明確な情報を開示すると、応募者側も安心できるのでサイレント辞退のリスクを限りなく減らせるでしょう。
定期的に連絡を取る
定期的なコミュニケーションを取るように心がけることは、応募者との信頼関係の構築に役立ちます。先ほどの誤解や疑問がないか確認することにもつながりますが、適切にコミュニケーションを取ることで、相談しやすい雰囲気もつくれるのです。
就職先を決めきれていない応募者にも、定期的なコミュニケーションを図ることで良い印象を与え、自社を選んでもらえる可能性が高くなります。
ただし、連絡頻度があまりに多すぎると応募者の負担になってしまい、逆効果になるので注意が必要です。
また、内定者との接触を目的としたイベントを定期的に開催するのも良い方法です。イベント時には、電話やメールでリマインドするようにしましょう。
定期的にコミュニケーションを取ることは、信頼関係の構築や応募者の不安を払拭するのに効果的です。しかし、意思決定を急かしたり入社を強要したりするような言葉や態度は出さないように注意してください。
社員や他の内定者と交流する機会を設ける
社員や自分以外の内定者と交流できる機会を設けることで、不安を解消しモチベーションを向上させることが見込めます。
例えば、社内イベントに招待したりランチ会を開催したりと、実際に会ってカジュアルに交流できる機会があれば、入社後の会社の雰囲気もイメージしやすくなり、安心できる材料になるでしょう。
イベントやランチ会の開催が難しい場合は、内定者同士が気軽にコミュニケーションを取れるように、社内コミュニケーション専用のSNSを用意するのもおすすめです。
電話やメールでリマインドをする
追加採用ができない時期に差し掛かってから内定辞退が発覚するのは、企業側として非常に避けたいところです。
内定式や懇談会を開催する場合に、企業側からのリマインドがないと「連絡しなくても問題ない」という思考になってしまう人もいます。
また、単純に内定式や懇談会の日程を忘れてしまう人もいるため、必ず電話やメールでリマインドするようにしましょう。
さらに、選考はスピードが命です。他社よりも選考スピードが遅れてしまうと、サイレント辞退につながりやすいため、迅速な対応を心がけるようにしてください。
まとめ
サイレント辞退をする人のみが悪いのではなく、企業側に問題があるケースもあります。丁寧な対応とフォローで応募者との信頼関係を築き、応募者の不安をなくすことで辞退を限りなく減らせるでしょう。
「この会社なら安心して働ける」と思ってもらえるような対応を心がけ、優秀な人材を獲得できるようにしましょう。