【サンプルあり】人材要件とは?定義の方法や役立つフレームワークについて解説。

採用戦略(計画する)

採用活動を実施する上で、どのような人物でどのような職歴を持った人材が必要なのかを明確にする必要があります。そうでなければ、質の高い人材を効率的に採用することができません。

そこで重要になるのが人材要件(じんざいようけん)です。この記事では、各部署やプロジェクトに必要な人材の資質を定める人材要件について詳細に解説していきます。

また、人材要件確認用のサンプルを業種別で用意していますで、ぜひご利用ください。

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人材要件について

最初に、人材要件とは何かについて大枠についてここでは解説して行きます。

人材要件とは?

人材要件(じんざいようけん)とは、職務やプロジェクトに必要な人材の資質、スキル、経験などを指定したものです。

募集する職種や役職に応じて、適切な候補者を見つけるために用いられる基準です。

例えば下記のような内容が人材要件に設定されます。

人材要件に設定される項目
  1. 労働条件
  2. 職務経験
  3. スキルや知識
  4. 適合性
  5. 協調性

これにより採用活動における人物像が明確になり、効率的な人材採用を実現することができます。

ペルソナや採用ターゲットとの違い

ペルソナや採用ターゲットと混同されることがありますが、これらと人材要件とは全く異なります。

ペルソナは年齢や性別、価値観、ライフスタイルなど、人物像を細かく具体化したものです。また、採用ターゲットはペルソナや人材要件の上位の概念で、欲しい人材の「層」を指します。

対して、人材要件はスキルや経験、人柄や特性、仕事に対する意欲など、「こんな人材が欲しい」という希望を多角的に定義したものです。つまり、ペルソナやコンピテンシーは、人材要件の一部だといえます。

人材要件の定義するためのフレームワーク

続いて、人材要件を決定する際に役にたつフレームワークについて解説していきます。有名な以下の4つについて解説して行きます。

  1. 氷山モデル
  2. MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE
  3. GRPIモデル
  4. コンピテンシーモデル

人材要件を決定する際にはこれらのフレームワークを活用すると非常に効率的に決めることができます。

MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE

人材要件を分類するフレームワークとしてMUST・WANT・BETTER・NEGATIVEというフレームワークがあります。それぞれ下記の4点の意味を示しています。

「MUST」:必須条件
「WANT」:望ましい条件
「BETTER」:あればなお良い条件
「NEGATIVE」:避けるべき特性

このフレームワークを使用することで、人材要件における優先順位を明確化できます。さらに、採用プロセスを効率化することができ最適な候補者を選出しやすくなります。

コンピテンシーモデル

コンピテンシーモデルは、職務遂行に必要な特定のスキル、知識、能力、行動を定義することを目的としています。コンピテンシーモデルで決定すべき項目には下記のようなものがあります。

  1. 技術的スキル(ハードスキル)
  2. 対人スキル(ソフトスキル)
  3. 問題解決能力
  4. 適応性と学習能力
  5. 倫理と価値観

コンピテンシーモデルを活用することで、自社の組織で必要な項目を洗い出すことができます。そのモデルには、自社組織の優秀な人材をモデルにすることが多いです。

氷山モデル

氷山モデルは、人の行動やパフォーマンスの背後にある要因を視覚化するモデルです。仕事では、常に成果の有無に限らずその人の行動は目に見えやすいため簡単に評価ができます。

その人氷山の一部が水面上に見えるように、人のスキルや知識(目に見える部分)やマインドセットや性格が背後にあります。

人材要件を定義する際に、氷山モデルを利用することで、単に技術的な能力や経験だけでなく、候補者の深層心理や価値観も考慮に入れることができます。これにより、組織の文化や価値観に合致する人材を見つけるのに役立ちます。

GRPIモデル

GRPIは、組織開発の際に活用されるモデルです。それぞれ下記の4項目の頭文字をとったものです。

GRPIモデルの4項目
  1. 「Goals(目標)」
  2. 「Roles(役割)」
  3. 「Processes(プロセス)」
  4. 「Interpersonal relationships(人間関係)」

GRPIモデルの中の「Role(役割)」が組織上の人材要件に該当します。これが最終的に役割毎の専門スキルに当たるものになります。そのほかの項目についても下記の図に対応しています。

組織のGRPIモデルを活用することで、組織の理想的なあり方と、人材の理想的なあり方を連動して考えることができます。

▼参考記事
「人材要件」をたった15分のミーティングで整理するフレームワークを共有します

人材要件を定義する4つのステップ

人材要件を定義することの必要性はわかったものの、どのように定義すれば良いのかわからない人もいるでしょう。そこで、人材要件を定義する基本を4つのステップに分けて解説します。

企業理念や経営戦略を再確認する

まずは、企業理念や中長期的な経営戦略を再確認し、採用活動とリンクさせる必要があります。

企業理念や経営戦略を理解せずやみくもに人を集めても、組織に合わない人を採用してしまったり、新規事業立ち上げによって人員計画が崩れたりする可能性があるからです。

「こうだろう」という思い込みで進めず、改めて経営層にヒアリングし、採用の目的や方向性についてすり合わせておきましょう。

採用ポジションの業務の洗い出し

担当部署にヒアリングを行い、採用ポジションの業務内容を洗い出しましょう。

採用ポジションの業務内容や、必要なスキルといった詳細を洗い出すことで、どのような人材が適任なのかを見極めます。

ここで担当部署にヒアリングせず、思い込みで進めてしまうと、採用した人材と担当部署が求めている人材がマッチせず、早期離職を招く可能性があるため注意が必要です。

人材の条件を優先順位づけする

人材のヒアリングを各部署に行った上で、集めた情報に対して優先順位をつけて行きましょう。そして必要な人材の条件の優先順位をつけて行きましょう。

望ましい人柄や人物像を洗い出す

3つ目のステップは、求める人物像を確立する必要があります。具体的には以下の2点です。

  1. ペルソナ設計
  2. コンピテンシーモデルの設計

スキルや経験だけでなく、性格や家族構成、興味がある分野、休日の過ごし方など、詳細な「キャラクター」を設計しましょう。

コンピテンシーモデルでは、自社内のパフォーマンスが高い社員の特徴や行動、考え方などを分析しましょう。

これをすることで、自社の風土にあった上でスキル感がマッチした人材にまで落とし込むことができるようになります。

人材要件を定義するするメリット

求める人物像のすべての条件が含まれる人材要件を定義するには、かなりの労力がかかります。

「わざわざ時間をかけて人材要件を定義する必要があるのか」と疑問に感じる人もいるでしょう。そこで、企業の採用活動において、人材要件を定義する必要性について解説します。

一貫した採用活動を行うため

人材要件を定義するべき理由のひとつが、一貫した採用活動を行うためです。人材要件をしっかり設定しておくと、採用したい「優秀な人材」の条件について、採用戦略から一貫した認識を持つことができます。

一定の指針をもとに、採用活動と中長期的な経営戦略を連動させれば、業績向上や目標達成にもつながるでしょう。

採用ミスマッチを防ぐため

人材要件を定義することは、応募者とのミスマッチを防ぐことにも役立ちます。人材要件は企業側だけが必要とするものではありません。

人材要件をもとに作成した求人票などを見て、応募者はエントリーするかどうかを考えます。ここで、適切な人材要件を定義していれば、企業と応募者の双方がミスマッチを防ぎやすくなります。

▼関連記事
採用ミスマッチをなくすには?ミスマッチが起きる原因や防ぐ方法!

効率よくスピーディーに採用するため

人材要件を定義すると、採用活動が効率良くスピーディーに進むようになります。採用基準が明確になり、採用の軸が揃うことで候補者の見極めがスムーズになるからです。採用基準が明確になっていれば、面接官による判断のブレも防げるでしょう。

人材要件を設定する際の注意点

人材要件を定義する際に押さえておきたい注意点がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

先天的な要素を重視する

人材要件を定義するときには、先天的な要素に重点を置くようにしましょう。業務の知識やスキル、ビジネスマナーといった後天的な要素は、入社後の研修などで身につけられます。

しかし「営業向きの性格」など、人それぞれがもつ先天的な要素は、どれだけ教育してもなかなか身につくものではありません。無理に合わせようとすると苦痛を感じ、心身に支障をきたしたり、退職してしまったりする可能性があります。

要件は絞り込みながら定義する

人材要件にはスキルや人柄などさまざまな条件が含まれますが、それぞれの条件を細かく設定しすぎると、対象者が狭まり採用のハードルが上がってしまいます。

確認事項が増えて面接官の負担も増し、採用活動が鈍化してしまうので、要件を増やし過ぎないよう絞り込みながら定義しましょう。

とはいえ、人材要件を減らし過ぎても、求める人物像があいまいになってしまいます。必須の要件と歓迎要件に分け、バランス良く定義することが重要です。

PDCAサイクルを回して最適化を図る

人材要件を定義したあとに採用した人材が、自社にマッチしていたかを確認することも大切です。PDCAサイクルを回し、検証・見直しを行いながら、人材要件の精度を上げていきましょう。

新卒採用で不利になりがちな中小企業が、自社にマッチした優秀な人材を確保する方法について、下記の記事でも詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

▼関連記事
中小企業の新卒採用はなぜ難しい?おすすめの手法や成功事例 

人材要件に沿って採用したいなら社長メシ!

人材要件に沿った採用活動なら、ぜひ社長メシをご活用ください。社長メシは、企業・求職者間でオファーを送り合える採用マッチングアプリです。

アプリ内でイベント情報を掲載すると、企業に関心のある人材からオファーが届きます。そして届いたオファーのなかから、人材要件に合う人のみを招待できるため、効率良く採用活動を進められるでしょう。

イベントに【〇〇卒限定】【〇〇の経験がある学生限定】などのタイトルをつければ、特定の条件を満たす集団を効率良く集めることも可能です。

気になる人材とフランクな場で交流できるため、本音を引き出しやすく、人材要件に合う人物かどうかを見極めるのにも役立ちます。

無料で社長記事掲載や人材エントリーなどができるフリープランをご用意していますので、まずはお気軽にお試しください。

まとめ

指針がないまま採用活動を行っても、思うような人材はなかなか集まりません。人材要件を定義して、自社が求める人物像を明確にしてみましょう。そのための人材要件確認表のテンプレートのご用意があるのでそちらもご利用ください。

そうすれば採用の指針がはっきりし、効率的に採用活動が進むようになります。

ただし、あまりに細かい人材要件は対象者を狭め、採用活動が鈍化してしまう可能性もあります。

かといって減らしすぎてしまうのも、人物像があいまいになるため、バランスの良い人材要件を定義し、自社にマッチした人材を採用していきましょう。