2025年の中小企業白書によると、中小企業が最も重視する経営課題は「人材確保」です。
「ビジョンに共感してくれる仲間が欲しいのに、応募すら来ない」 「ようやく採用できたと思ったら、すぐに辞めてしまう」
そんな悩みをもつ中小企業やスタートアップ企業は少なくありません。
大手や競合との条件競争から抜け出し、優秀な人材が集まる組織に変えていくためには、これまでの採用や組織づくりの考え方を整理し、改善を進めていくことが重要です。
本記事では、人が集まらない状態を脱却するための解決策や成功事例について解説します。
人材が集まらない会社の「根本的な問題」
人材が集まらない会社は、求人の内容に問題があるというより、採用の下準備が十分に整っていないケースが少なくありません。まずは自社の状況を整理してみてください。
会社のビジョンや強みが不明確
求職の中でも、特に意欲が高い人材は、企業のMVVに注目しており、「自分が成長できる環境か」「共感できる理念か」といった点をチェックしています。
自社サイトの見やすい箇所に、企業理念が明記されているかを確認してみましょう。
採用活動にリソースを割いていない
採用活動は事業の継続に欠かせない取り組みであり、専任者を配置できるのが理想です。
とはいえ、中小企業では採用担当者が他の業務と兼任しているケースが多く、対応が後手に回りがちです。特に応募者への対応が遅れれば、他社に流れてしまうおそれもあります。売手市場の今は、自社の魅力を積極的にアピールする姿勢が求められます。
採用したい人物像が定まっていない
「とにかく人手が足りないから、誰でもいい」という姿勢で採用活動を行うと、求人情報が抽象的になり、結果として「誰にも刺さらない」ものになります。
採用ペルソナ(理想的な人物像)が曖昧な会社は、採用基準もブレやすく、入社後のミスマッチによる早期離職の原因にもなります。
口コミ評価が低い
求職者は企業の採用情報だけでなく、口コミサイトやSNSを通じて、社員の生の声をチェックするようになりました。もし「残業が出ない」「人間関係が悪い」といったネガティブな口コミが目立つ場合は、企業イメージは著しく低下します。
対策せずにいると、「社員の声に耳を傾けない会社」という印象を与えてしまい、応募者の減少にもつながりかねません。
人材が集まらない会社の「仕事内容・体制の問題」

求職者は、入社前に「何をする会社なのか」「どんな仕事を任されるか」を知りたいと考えています。そのため、仕事内容や組織体制がわかりにくいと、応募につながらないこともあります。
仕事内容・会社概要が分かりにくい
求人票や採用ページに、専門用語や業界用語が羅列されているだけになっており、具体的な仕事内容が伝わらないケースです。
例えば、「最先端のITソリューションを提供し、顧客のDXを推進する」といった表現では、求職者は具体的な仕事のイメージができません。「入社1年目の1日のスケジュール」や「具体的な業務フロー」といった、入社後のイメージを補完する情報があると応募者の安心につながります。
常に人手不足で余裕がない
慢性的な人手不足は、現場の社員の疲弊を招き、採用活動にも悪影響を及ぼします。面接などで応募者が社員を見かけた際に、社員が疲れた様子でいると、応募者は入社後の生活を不安に感じてしまいます。
また、社内での教育や引き継ぎ体制が十分に整っていないと、入社後にスムーズに業務を進められないばかりか、スキルアップが難しい環境と判断され、離職にもつながりかねません。
人材が集まらない会社の「待遇・働き方の問題」
待遇や働き方は、求職者が企業を比較検討する際の重要な要素となります。また、ここが整っていないと、応募者だけでなく、現社員の定着にも影響することがあります。
給与や賞与が低い
同業他社や地域平均と比較して給与水準が低い場合、求職者は合理的に他社を選択します。また、固定残業代の定義が曖昧であったり、賞与の実績が不透明であったりするなどの「隠された条件」があると感じさせる会社は、求職者の不信感を招きます。
「成長できる環境があるから」という理由で、市場相場を明らかに下回る水準を設定するのはNGです。
残業が多くワークライフバランスが悪い
有給休暇の取得率が極端に低いほか、「残業するのが美徳」といった社内文化が残っている会社は、ワークライフバランスを重視する現代の求職者から敬遠されます。
今の売り手市場において、働き方の柔軟性が欠如していることは、母集団形成において大きなデメリットとなります。
福利厚生が整っていない
健康保険や年金などの法定福利が整っていても、それ以外の社員向けサポートが不足している会社は、応募者にとって魅力が薄く映ることがあります。法定福利以外のサポートは、社員への還元姿勢として評価されます。
例えば、住宅手当や資格取得支援制度など、社員の生活や成長をサポートする制度がない場合、求職者から社員への投資意識が低いと見なされる可能性があるのです。
服装や髪型などの外見に関するルールが厳しい
業務上の合理的な理由がないのに、服装や髪型に過度なルールを設けている場合は、候補者に堅苦しさや窮屈さを感じさせやすいものです。
特に自由な発想や個性を重視するIT・スタートアップ業界では、こうした制限が古いカルチャーの象徴として敬遠されることがあります。
人材が集まらない会社の「求人・採用活動の問題」

採用活動における手法やツールの選択ミスも、人が集まらない大きな要因です。
求人内容に魅力が感じられない
どこの会社でも言えるような、無個性な求人は数多の情報の中に埋もれてしまいます。自社ならではの仕事の醍醐味や、社長が掲げる熱いビジョンが求人票から伝わらなければ、応募意欲を喚起することはできません。
「やりがいがある」「アットホームな雰囲気」など、抽象的な表現ばかりにならないよう工夫が必要です。
適切な採用媒体・手法を選定できてない
自社に適したチャネルを選びきれていないことは、人が集まらない会社によく見受けられる課題です。例えば、若手採用を狙いながら紙媒体に求人を掲載しても、ターゲット層にはリーチできません。
また、採用したい層が利用しない媒体に費用をかけてもROI(投資対効果)が合わず、採用単価の高騰を招いてしまいます。
自社HPや採用ページがない・古い
求職者の多くは、求人媒体で興味を持った後に企業の公式サイトを確認します。もし採用ページが存在しなかったり、更新が数年前で止まったままだったりすると、それだけで「経営に余裕がない」「ITリテラシーが低い」と判断され、候補者が離れてしまう原因になります。
Web上の情報が不足し、社内の活気が外部から見えないのは、もったいない状況です。
採用担当者のスキルやノウハウが不足している
採用担当者は、求職者が初めて接する「会社の顔」です。面接での振る舞いはそのまま企業のブランドイメージに直結するため、ここでの対応が不適切だと、どれだけ事業が魅力的であっても候補者は離れてしまいます。
例えば、履歴書をその場で初めて読むような準備不足や、自社の魅力を熱意を持って語れない態度は、求職者に「入社しても大切に扱ってもらえない」「自社に自信がない」という印象を与えかねません。
人材が集まらない会社の「立地の問題」
物理的な場所やアクセスの良し悪しは、自社の努力だけでは変えられない部分が多い一方で、求職者にとっては日々の生活に直結するシビアな判断材料となります。
交通アクセスが悪い
最寄り駅から徒歩15分以上かかる、あるいはバス移動が必要といったアクセスの不便さは、毎日通勤することになる求職者が気にするポイントです。
立地そのものを変えることは困難ですが、リモートワークの導入など、物理的な距離をフォローする対策が打てると理想的です。
人が集まる会社になるための具体的な解決ポイント

ここまで、人材獲得の課題になりがちなポイントについて解説してきました。自社の課題が見つかった場合は、見直しを進め、自社の魅力を求職者に伝えていきましょう。
ここからは、優秀な人材に選ばれる会社になるための具体的な方法について解説します。
採用を戦略として捉え、継続的にリソースを割く
「採用活動の時間が取れていない」「面接官のスキルに不安がある」と感じた場合は、まずここを見直しましょう。採用は、単に欠員を補えば良いだけではなく、会社の将来を左右する大切な投資です。経営層が積極的にコミットし、採用を継続的に動かせる仕組みを整えていくことが重要です。
具体的には、専任担当の配置や外部パートナーの活用などが有効です。また、選考の評価基準や面接フローをマニュアル化することで、個人のスキルに頼りすぎない、安定した採用体制を構築できます。
自社のビジョンや魅力を明確にして発信する
他社との条件競争で苦戦しているなら、社長自身の「想い」や「自社ならではの強み」を整理することが突破口になります。自社が何のために存在し、どこを目指すのかというMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に加え、他社にはないスピード感や特定の分野で培った技術力、独自の社風など、自社ならではの魅力を言語化しましょう。これらをSNSやブログ等で発信し続けることで、求職者の共感を得ることが可能になります。
なお、社長自らが自社の魅力を優秀層に直接伝えられるプラットフォームとして「社長メシ」を活用するのも一手です。
仕事内容と体制を整理し、入社後の不安を解消する
Web上で公開している情報が古いままになっている場合は、情報を更新する必要があります。具体的には、以下のような自社のリアルな情報を求職者に届けることを意識しましょう。
- 一日のタイムスケジュール
- マニュアルの紹介
- サポート体制の紹介
- 日々のブログ
こうした情報を可視化することで入社後の不安を解消することが、人材の獲得につながります。
待遇・働き方を見直し、納得感のある条件に整える
給与水準は社員の満足度に直結するため、もし業界の規準より低いのであれば、改善するのが理想です。しかし、事業の状況によっては、すぐに基本給を上げることが難しい場合もあるでしょう。そんな時は、資格取得手当や旅行の補助、勤続の節目に贈る一時金など、今の自社でできる範囲の「社員に還元する制度」を検討してみてください。たとえ給与額で大手に勝てなくても、「自分の生活や成長を会社が真剣に考えてくれている」という実感があれば、社員は納得感とやりがいを持って働いてくれるはずです。
また、金銭面以外でも、休暇の充実やリモートワーク、フレックス制度といった「働きやすさ」を整えると、自社の大きな魅力になります。
立地やアクセスの不利を、働き方の工夫で補う
「駅から遠い」「地方にある」といった立地の不利がある場合は、通勤の負担を軽減する対策を講じましょう。リモートワークの導入や直行直帰の推奨、あるいは始業・終業時間をずらす時差出勤などは、通勤のストレスを大幅に軽減します。
また、マイカー通勤を許可して駐車場代を補助したり、近隣への引っ越し費用をサポートしたりすることも、物理的な距離を縮める有効な手段です。
採用ペルソナに合った採用チャネル・手法を用いる
採用活動の精度を高めるには、自社の採用ペルソナに合ったチャネルを選ぶ必要があります。特に、中小企業は大手に比べてリソースが限られるため、ターゲット層に声が届きやすいルートを厳選する必要があります。
ここでは、自社の魅力をダイレクトに伝えられる方法として、以下3つの採用チャネルを取り上げます。
| 採用チャネル | 特徴 | メリット |
| リファラル採用 | 社員に知人を紹介してもらう | ・ミスマッチが起きにくい ・定着率が高い。 |
| ソーシャルリクルーティング | SNSで会社の価値観を発信する | ・企業ブランディングになる・転職潜在層にリーチできる |
| ダイレクトリクルーティング | 企業から直接人材にリーチする | ・ターゲット層を絞りやすい・マッチングの精度が高い |
▼関連記事
採用手法16種類を紹介|予算と課題の観点からの選び方について解説
リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員の友人・知人を紹介してもらい採用につなげる手法です。紹介者を通して、事前にある程度自社の強みや特徴を伝えられるので採用確度の高い人材を集められます。 採用したい人材像を社員間で共有しておくこと、インセンティブなど紹介に対する報酬制度を万全にしておくことが成功のポイントです。
▼関連記事
リファラル採用とは?メリットとデメリット、成功させるポイントを解説。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングは、SNSを活用して現場の雰囲気や社長の想いを発信する手法です。求人サイトの文字だけでは伝えにくい日常のリアルな様子を届けることで、自社をブランディングしながら転職潜在層や若手層まで、広くアプローチできるのが強みです。こまめな情報発信を継続し、自社のファン(共感者)を増やしていくことが運営のコツです。
▼関連記事
ソーシャルリクルーティングとは?SNSでの採用を成功させる方法
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、求人サイトのように候補者からのオファーを待つのではなく、企業が候補者に直接アプローチして採用する手法です。特定のスキルや経験を持つ人材に絞ってリーチできるため、優秀な人材に早くアクセスでき、マッチング精度も高めやすいのが特徴です。
▼関連記事
【企業向け】ダイレクトリクルーティングとは?具体的なやり方やポイント
人が集まらないという課題に効く、「社長メシ」という採用方法

少子高齢化による人材不足が深刻化するなか、大手企業は積極的に優秀な人材の獲得に動いています。中小企業やベンチャー企業は、知名度や条件では大手に太刀打ちできず、またリソースも限られるため、採用活動は厳しい状況に置かれています。
これらの課題を解決し、ダイレクトリクルーティングの効果を最大化する手法として注目されているのが「社長メシ」です。社長が求職者と食事を共にし、直接ビジョンを語ることで、条件の比較を超えた「理念共感型」の採用を実現できます。

実際に社長メシを活用し、採用難を突破した中小・ベンチャー企業の事例を紹介します。
1. 【建設メーカー】失敗続きの新卒採用から「理念共感」での獲得へ
それまでナビサイトや合同説明会に注力するも、自社の風土に合う学生に出会えず苦戦。ビジネスモデルの解説ではなく、社長が「どういう想いで仕事をしているか」を食事会で直接語るスタイルに変更したことで、社長の考え方に惹かれた新卒女性1名の採用に成功しました。
2. 【飲食ベンチャー】2ヶ月で3名の新卒採用。スピードと質を両立
採用が難しいとされる飲食業界で、創業者が自ら最前線に立ちビジョンを伝達。ナビサイトのような「本気度の見えにくい母集団」ではなく、最初から「社長に会いたい」と願う学生とだけ会うことで、2ヶ月という短期間で3名の採用を決定。現在は店舗の即戦力として活躍しています。
人が集まらない会社に関するよくある質問
採用難に悩む経営者の方からよく寄せられる質問を、解決のヒントとともにまとめました。
知名度が低い中小企業でも人を集められるようになりますか?
はい、十分に可能です。若年層を中心に、企業の知名度やブランドよりも、自分に合った社風や働き方を重視する人材が増えています。例えば「社長めし」のようなプラットフォームを利用し、自社の価値観や想いを直接伝えることで、価値観に共感する優秀な人材とマッチングできます。
採用費が少ない場合は、何から改善すればいいですか?
まずは採用活動の効率化と既存社員の定着率向上に注力すべきです。具体的には、求人票や採用ページの情報を充実させ、ミスマッチによる早期離職を防ぐことが、最も費用対効果の高い改善策となります。また、リファラル採用など、費用を抑えつつ質の高い人材を獲得できる手法を優先的に導入しましょう。
人手不足が続いていて、採用活動に時間を割けません。どうすればいいですか?
工程の一部を外部委託するのがおすすめです。たとえば、採用をダイレクトリクルーティング支援に委託し、社長や現場社員が面談・面接といったコアな部分に集中する方法が考えられます。社長メシのように、逆求人や短時間で質の高い接触を実現する手法も有効です。
まとめ
求人を出しても人が集まらないと悩んでいる場合、他社と比較したときの優位性や自社ならではの強みがあるか改めてチェックしましょう。また、採用につながらない採用チャネルを使い続けていないか、効果的なPRができているかなども確認し、不足があれば改善することが重要です。大企業・有名企業でなくともアピール次第では効果的な母集団形成ができるので、チャレンジしてみましょう。
「社長メシ」は、食事会を通して企業と求職者をマッチングさせる取り組みです。自社の想いに共感した人材から直接オファーが届くので、採用工数やコスト削減の効果も期待できます。手軽なミートアップイベントから採用活動をしたいときや、自社に興味のある層を確実に集めたいときに、ご活用ください。



