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リファラル採用の報酬相場は?
リファラル採用は、既存の社員を介して人材を紹介してもらうため、求職者にとっても企業にとってもミスマッチのリスクが少ない方法です。退職したOBやOGなど、ほかの関係者からの紹介を受ける場合も、リファラル採用と呼びます。
しかし、社員に人材を紹介してほしいと依頼するだけでは、思うように応募が集まらない可能性もあります。相応の報酬を出すなど、紹介した社員にとってもメリットのある依頼の仕方が必要です。
リファラル採用を行っている多くの企業が、どの程度の報酬を提示しているのか、まずは相場をチェックしてみましょう。
報酬相場
リファラル採用を取り入れている企業は多く、業種も企業規模もさまざまです。そのため、企業によって大きな差があり、支払われている報酬は1~30万円程度となっています。
ただし、中には30万円以上を支払っている企業もあります。ほとんどの企業が無理なく支払える額の範囲で考えると、平均的な報酬額は10~15万円程度と見て良いでしょう。
報酬の内容
報酬は、一般的に報奨金として支払われることが多いです。
そのほか、会食費や交通費などを実費で支払ったり、入社した社員へのお祝い金として渡したりするケースもあり、報酬の形はさまざまです。
ユニークな方法の例では、ポイント制にしている企業もあります。溜まったポイントに応じて報酬を出すというもので、中長期的にモチベーションを維持させることが目的です。
報酬制度があることで、社員のリファラル採用への積極的な参加が期待できる一方、入社した社員や会社に感謝されることが、紹介者のモチベーションにつながっています。
報酬に限定せず、紹介者を表彰したり感謝を伝える場を設けたりすることも、リファラル採用の浸透・定着に役立つでしょう。
報酬金額の決め方
相場の幅が広いと参考になりにくく、「自社はいくら出すべきか」と迷う方も多いでしょう。報酬金額は、採用した人材のスキルや経験、業種や職種などであらかじめ基準を設定しておくと判断しやすくなります。基本的には、採用単価や年収想定額に比例させて考えると良いでしょう。
また、報酬をどの時点で発生させるかも、リファラル採用の成功に関わる重要なポイントです。自社の採用課題を考慮して報酬の出し方を決め、社員に周知しましょう。目的別の報酬設定例を3つ紹介します。
応募数を増加させたい場合
一般的なリファラル採用の報酬は候補者が採用に至った時点で出しますが、応募数を増加させるには、候補者が応募に至った時点にすることも有効です。これは、紹介活動に関する報酬ともいえます。紹介ハードルが下がるため、社内にリファラル採用を浸透させたい場合にも適しているでしょう。
ただし、ゴールを応募数とすると候補者がとにかく応募さえすれば良いので、報酬のみを目的とした紹介が増える可能性も否定できません。適性よりも紹介することに重きを置いてしまうと、候補者の質が低下するリスクも発生します。社員のリファラル採用に対する意識や定着度を見ながら、運用していく必要があるでしょう。
また、紹介した社員だけでなく部署も報酬の対象とすることでも、社内のリファラル採用に対する意識を活性化できます。
定着率を高めたい場合
定着率を高めたい場合には、採用してから一定期間が経過した後に報酬を設定すると効果的です。あるいは、採用時と採用後に分割するのも良いでしょう。
リファラル採用で入社しても定着しない理由の多くはミスマッチで、入社前のイメージと入社後が異なることです。定着が見込まれてからの報酬にすることで、安易な紹介やミスマッチとなりそうな紹介を防げるでしょう。
また、定着させるためには、紹介した社員による入社後のアフターフォローも重要です。
即戦力人材を確保したい場合
即戦力となる人材を確保したい場合は、スキルや経験に応じて高額の報酬設定をすることも有効です。
紹介報酬が大きくなれば、社員の関心や紹介意欲が高まります。優秀な人材と出会える機会が増えることを期待できるでしょう。
高スキルの人材は市場価値が高く、簡単には採用できません。社員の持つ繋がりを有効活用するためにも、見合うだけの報酬を設定しましょう。
リファラル採用で報酬を支払う際の注意点
リファラル採用の効率を向上させるためには、報酬額を多くすることも方法のひとつです。しかしむやみに金額を高くしたり、安易な方法で渡したりすると、違法になる可能性があります。
ここではリファラル採用の報酬を支払うとき、あらかじめ知っておくべき注意点をふたつ紹介します。
社員に直接報酬を払うと違法になるおそれがある
リファラル採用に対する報酬を支払うときは、渡し方に注意しなくてはなりません。
職業安定法第30条によると、人材紹介を行う際は、厚生労働省からの許可が必要となります
また、同じく職業安定法第40条では、人材紹介の免許を持っていない人が直接報酬を受け取った場合、違法とみなされてしまいます。
(報酬の供与の禁止)
第四十条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
引用:職業安定法
報酬の金額が適正といえない場合も、紹介自体が業務とみなされてしまい、違法と判断されてしまう可能性があります。リファラル採用に協力してくれた社員に対して、適正な範囲の金額で、なおかつ「賃金、給与」の形で支払うことが大切です。
報酬ではなく賃金、給与の一部として支払うのであれば、法外な金額でない限り問題はありません。たとえば人材紹介事業を営む一般的な仲介業者の場合、紹介した人材の年収に対して約30%の報酬とされています。
事業として人材紹介を行っている仲介業者の金額を、報酬が超えることは適正とはいえません。多くても、紹介した人材の年収の約30%以下に抑えましょう。
就業規則に支払い条件を加える
リファラル採用の報酬について、就業規則に記載することも忘れてはなりません。労働基準法第15条には、賃金や給料に関する事項を必ず明示するよう定められているためです。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
引用:労働基準法
前述のようにリファラル採用の報酬を賃金、給与の一部として支払うのであれば、あらかじめ就業規則にその旨を詳しい条件とともに記載する必要があります。就業規則で明示することで、人材を紹介することだけを業務としているのではなく、あくまで日常の業務の一部であると位置付けることができます。
リファラル採用を成功させるポイント
ほかの手法と同じく、リファラル採用も導入して即座に理想的な効果があらわれるとは限りません。紹介される人材が自社にマッチしていなかったり、紹介件数そのものが少なかったりと、想定よりも収穫が少ない場合もあります。
少しでもリファラル採用の成功率を上げるために、3つのポイントを紹介します。
社内で採用への認識を共有する
まず重要なのが、社内でリファラル採用の認知度を上げることです。リファラル採用を導入したことはもちろん、どのような手法なのか、社員に正しく理解してもらいましょう。
社内の認知度を上げるときに意識すべきポイントが、自社にとってリファラル採用が必要である理由も含めて共有し、社員一人ひとりに問題意識をもってもらうことです。
なぜリファラル採用なのか、社内にどのような課題があるのかを解説して共通認識を作り上げることが、採用活動の成功につながります。
また、リファラル採用の成果について共有することも重要です。
積極的にリファラル採用に協力できていないメンバーは、時間が経つと制度についての関心が薄れてしまう可能性が高いです。成果を定期的に共有することで、意識に残りやすくなります。
また、実際の成果を知ることで、身近な自分ごととして捉えられるようにもなるでしょう。取り組みに対するモチベーション維持にも役立ちます。
社員が紹介したくなるような仕掛けをつくる
リファラル採用の導入により、報酬目当てで自社要件に合致しない人材の紹介が増えることはリスクですが、一方で紹介件数が増えなければ優秀な人材と出会うこともできません。社員が積極的にリファラル採用へ協力したくなるよう、報酬などのメリットを用意しましょう。
報酬は、漠然と存在を告げるのではなく、詳しい金額や条件も明確にしたうえで提示することが大切です。条件が魅力的であれば、紹介数の増加が期待できます。
また、報酬以外にも、社員がリファラル採用に協力したくなるような仕掛けが必要です。従業員満足度が高い企業づくりを心がけ、貢献したいと思ってもらえるような環境を育てていくことも、リファラル採用の質の向上につながります。
実は、リファラル紹介を動機付ける理由の上位は報酬ではありません。採用候補者となる知人・友人のために役立ちたいというホスタリピティや、自身も採用や事業に関与したいという当事者意識が動機となることが多いです。
このような背景を把握したうえで、社員全員が当事者意識を持てる制度設計や環境整備をすることが、リファラル採用を成功させるポイントになります。
また、紹介方法について共有するなど、社員が紹介にハードルを感じない風土を作ることも効果的です。
ほかの採用手法と組み合わせる
リファラル採用に重点を置く企業も少なくありませんが、採用活動をより効率化させたいなら、ひとつの方法に絞り込むことは適切とはいえません。リファラル採用を行いつつ、ほかの手法も組み合わせて幅広くアプローチしていきましょう。
リファラル採用は自社をよく理解している既存社員からの紹介であるため、自社のカルチャーにマッチした人材を獲得しやすくなります。そのうえで、「自社の企業理念や文化に共感できるか」「社風に馴染めるか」といった基準で人材を採用すると良いでしょう。
ただし、即戦力人材や高スキル人材を求めている場合、リファラル採用のみで獲得するのはなかなか難しいものです。たとえ価値観がマッチしたとしても、必ずしも自社で活躍できる人材であるとは限らないためです。
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まとめ
リファラル採用では、自社をよく知っている社員から採用候補者を紹介してもらえるため、自社にマッチする人材を効率的に獲得可能です。
多くの社員に協力してもらうためには、適切な報酬を提示する必要があります。リファラル採用に協力してくれた社員へ報酬を渡すときは、提示方法や渡し方に注意しましょう。
報酬金額をしっかり提示することで、人材の紹介数を増やせる可能性があります。ただし、リファラル採用の報酬金額を設定するのはかなり時間と手間がかかるものです。
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