厳選採用とは、採用枠は決めるものの、自社の採用基準を満たす候補者が少ない場合は、採用枠に満たなくても採用しないことです。
厳選採用は、一見採用力の強い企業しか使えない手法のように思えます。しかし、一人当たりの採用コストが100万円近いことを考えると、費用対効果の面で厳選採用は大きなメリットがあります。
そこで、この記事では厳選採用の意味やメリットについて解説していきます。
厳選採用の意味
厳選採用とは、あらかじめ定めた採用枠に内定者数が満たなくても、無理に採用しないという方法です。たとえば特定の要件に対して「あと一歩で最低基準に達する」応募者がいたとしても、最低基準を超えていなければ、内定者を出すことなく採用を終えます。
厳選採用は、少人数採用というわけではありません。企業はいち早く人材を確保するために採用活動を早期化させ、少数の採用枠に対して数多くの候補者を比較して採用します。
厳選採用は、中途採用だけでなく、新卒採用において学生を採用する際にもこのような考え方が進んでいます。
なぜ「厳選採用」を行う企業が増えているのか
より秀かつ自社にマッチした人材のみを獲得するために、厳選採用へ積極的な企業が一定数見られているのです。採用選考基準を「緩くする」と回答した企業よりも、「厳しくする」と回答した企業の数が上回っているのが現状です。
出典:「2022年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査」(株式会社ディスコ)
育成に時間やコストをかけられないため
厳選採用を取り入れる企業が増加しつつある理由のひとつが、各企業の人材育成にかける時間やコストの減少です。コロナ禍をはじめとした、さまざまな要素により不況が深刻化した現在、売上が減少した企業もあります。
コストカットを求められる現場では、人材育成にかける予算を取りにくいものです。結果、育成を視野に入れた採用ではなく、育成コストのかかりにくい高パフォーマンスな人材を優先して獲得することで、売上の向上をはかる採用方針へと変化しました。
採用する人材に大きな役割を求めているため
中小企業やベンチャー企業は、大企業に比べると採用した人材が自社へ与える影響は大きくなります。ときには経営方針やオフィスの雰囲気、業務ルールの変化にまでおよぶ可能性もあり、採用する人材は慎重に選ぶ必要があります。
少ない採用枠を最大限に活かすためには、採用する人材に求める役割が大きくならざるを得ません。「自社の雰囲気にマッチしているか」「求めるスキルを満たしているか」など見極める厳選採用を取り入れることで、売上向上など自社への良い影響が期待されています。
厳選採用を行うことで採用コストの削減を見込める
厳選採用を取り入れるメリットは、優秀な人材のみを獲得できるだけではありません。自社の採用基準を満たさない人材を採用しないことは、以下のリスク軽減につながります。
- 採用ミスマッチが起こるリスク
- 早期離職されるリスク
- 採用のやり直しによるコスト増加のリスク
無理に採用した人材は現実とのギャップを感じるリスクが高くなる分、採用ミスマッチや早期離職を生じさせます。コストと時間をかけて採用した人材が何人も早期離職すると、新たに採用する手間やコストが増えるでしょう。
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厳選採用によって最初からリスクの高い人材を避けることは、結果として長期的なコスト削減などのメリットをもたらします。
厳選採用を実施する前にリスクを把握しておくことも必要!
採用にかける時間やコストなど、メリットの多い厳選採用ですが、リスクがないわけではありません。本格的に厳選採用を取り入れる前に、想定されるリスクも把握しておきましょう。
企業の多様性が乏しくなる
厳選採用は見方を変えると、会社に新しい風を吹かせてくれる人材の採用を避けることともいえます。会社にとって低リスクかつ無難な人材のみを採用し続ければ、自社にパラダイムシフトが起こる可能性を摘み取ってしまうでしょう。
優秀な人材を採用したつもりが、成長のない現場を生み出すことになりかねません。メリットの多い厳選採用も、信頼しすぎると会社にとって重要な役割を担う可能性のある人材の採用機会を逃すリスクがあります。
採用ノウハウが蓄積しにくくなる
厳選採用は、いわばあらかじめ用意されたマニュアルに従った流れ作業ともいえます。長年の経験に基づいた人材の見極め方など、採用ノウハウが蓄積しにくい状況です。
設けた基準に厳しく従っていると採用人数も減少しやすいため、採用担当者に配置される人材の母数も減ります。採用経験のある社員が減少したり、ノウハウが蓄積されなかったりと、多用しすぎると自社の採用力を衰えさせるおそれがあります。
厳選採用に適した採用手法
厳選採用を効果的に取り入れるには、求人情報の開示や募集など、一連の業務も含めて最適な手法を取り入れることが大切です。
前述した厳選採用のリスクを軽減させるためにも、まずは自社に適した採用手法を見つけましょう。
ターゲットを絞って求人を掲載する
求人媒体へ現行を掲載する場合、幅広い層へリーチしすぎないことが大切です。必要以上に母数を増やすことよりも、求める人材の多い層に効率良く情報を届けることを重視しましょう。
たとえばターゲットを明確にすることも、対策のひとつです。掲載する媒体を絞り込んだり、キャッチコピーや大々的にアピールするポイントを選んだりと、ターゲット層が興味をひく求人票に仕上げましょう。
自社の採用ホームページを充実させる
採用ホームページは、求職者にとって重要な情報源のひとつです。企業にとってもアプローチできる場であり、活用しない手はありません。
自社の採用ホームページを見て、応募したいと思えるデザインや情報量となっているか確認してみましょう。メリットばかりではなく、課題や解決への取り組みなども含めて開示すると、求職者からの信頼を得られます。
求職者が応募前によりリアルな情報を収集できるような、充実した採用ホームページに仕上げれば、入社後のギャップが生じるリスクも軽減できます。
採用ピッチ資料をオープンにする
近年は会社説明資料のほかに、採用ピッチ資料を作成する企業も少なくありません。採用ピッチ資料とは、事業課題や組織課題なども含めた企業の特徴をオープン化したもので、会社説明資料よりも細かな情報が書かれたものです。
会社説明資料は淡々とした情報の羅列ですが、採用ピッチ資料はより深く会社の魅力を理解できるため、読み込んだ応募者は企業を十分に理解した状態で選考に臨めます。採用ピッチ資料をオープンにすることで、一方的に質問を投げるのではなく、相互理解につながる有意義な面接が行えるでしょう。
リファラル採用を導入する
リファラル採用とは、自社の社員から自社に合った人材を紹介、推薦してもらう採用方法です。あらかじめ自社のメリット、デメリットやオフィスの雰囲気を熟知している社員に人材を紹介してもらうことで、採用ミスマッチを防げるメリットがあります。
業務内容や求めるスキルも理解しており、採用につながりやすい方法です。社内でリファラル採用に関する情報共有を行い、社員に協力してもらいましょう。
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ダイレクトリクルーティングを活用する
ダイレクトリクルーティングとは、企業側が気になった求職者へ直接アプローチする方法です。従来の求人票を提示して応募を待つ方法とは異なり、攻めの採用ができます。
求人情報への応募を待つ場合、自社に興味をもった人物にしかアプローチできませんが、ダイレクトリクルーティングは潜在層へリーチできる点が大きなメリットです。自社の存在を知らない求職者や、マッチする職種があることに気付いていない求職者にも、幅広くアプローチできます。
能力面だけではなく、人柄や仕事への考え方も考慮して採用したい方は、「社長メシ」をご活用ください。
社長メシは企業と求職者、双方向でオファーを送ることができる採用マッチングアプリです。求職者から届くオファーの中から、気になる人材のみを招待して、食事会などリラックスできる場で直接会話できます。
通常の面接では聞けない本音を聞くこともでき、企業理念や仕事への考え方など、能力面以外の部分も自社と相性の良い人材を見つけることが可能です。
まとめ
近年は深刻な人手不足に悩まされる企業や、人材育成にかける余力が残っていない企業も多く、即戦力が強く求められています。企業の採用活動も、リファラル採用やダイレクトリクルーティングなど積極的な手法を取り入れるケースが増えています。
一時的な人員補充よりも長期的なメリットを優先する企業から注目されているのが、採用人数に縛られない厳選採用です。能力だけではなく人柄も企業理念に合う人材を採用したい、と厳選採用を検討している方は、ぜひ「社長メシ」を活用したダイレクトリクルーティングをお試しください。