リファラル採用は、既存の社員を介して人材を紹介してもらうため、求職者にとっても企業にとってもミスマッチのリスクが少なく、人材紹介と比較して報酬も少なく済みます。
しかし、社員に人材を紹介してほしいと依頼するだけでは、思うように応募が集まらない可能性もあります。相応の報酬を出すなど、紹介した社員にとってもメリットのある依頼の仕方が必要です。
そこで、この記事ではリファラル採用の報酬について設計方法や相場、法律的な観点から解説していきます。
リファラル採用の報酬相場は?
リファラル採用を取り入れている企業は多く、業種も企業規模もさまざまです。そのため、企業によって大きな差があり、支払われている報酬は10万円〜20万円が最も多くなっております。
ただし、中には30万円以上を支払っている企業もあります。ほとんどの企業が無理なく支払える額の範囲で考えると、平均的な報酬額は10~15万円程度と見て良いでしょう。
リファラル採用の報酬制度の設計
設計項目①|報酬の内容
報酬の内容には、以下のような種類が想定されます。
- 現金
- 商品券
- 追加の有給休暇
- 会社製品への割引
自社の社員にとって最もメリットがあると想定されるものを報酬として渡すようにしましょう。
設計項目②|報酬金額の決め方
報酬金額を決める際は、推薦された候補者が企業にもたらす価値を考慮することが重要です。また、報酬額は企業の予算内で実現可能な範囲で設定する必要があります。
ただ、多くの場合は業界の平均や競合他社の報酬制度を参考に報酬金額を決めるのがほとんどです。
設計項目③|報酬はいつ支払うか
報酬の支払いタイミングは、推薦された候補者が正式に雇用された後、または一定期間勤務した後に設定されることが一般的です。
この期間設定は、新入社員の定着を促す目的もあります。
設計項目④|採用対象者の範囲
リファラル採用の対象となる候補者の範囲を明確に定義することが重要です。
例えば、直接の上司や経営層の推薦は除外する、既存の社員との関係性に制限を設けるなど、制度の透明性を保つためのガイドラインを設定します。
リファラル採用で報酬を支払う際の注意点
リファラル採用の効率を向上させるためには、報酬額を多くすることも方法のひとつです。しかしむやみに金額を高くしたり、安易な方法で渡したりすると、違法になる可能性があります。
ここではリファラル採用の報酬を支払うとき、あらかじめ知っておくべき注意点をふたつ紹介します。
注意点①|社員に直接報酬を払うと違法になるおそれがある
リファラル採用に対する報酬を支払うときは、渡し方に注意しなくてはなりません。なぜなら、人材紹介免許を持たない人材に報酬を付与したと捉えられかねないからです。
報酬の金額が適正といえない場合も、紹介自体が業務とみなされてしまい、違法と判断されてしまう可能性があります。リファラル採用に協力してくれた社員に対して、適正な範囲の金額で、なおかつ「賃金、給与」の形で支払うことが大切です。
また、同じく職業安定法第40条では、人材紹介の免許を持っていない人が直接報酬を受け取った場合、違法とみなされてしまいます。
(報酬の供与の禁止)
引用:職業安定法
第四十条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
注意点②|就業規則に支払い条件を加える
リファラル採用の報酬について、就業規則に記載することも忘れてはなりません。労働基準法第15条には、賃金や給料に関する事項を必ず明示するよう定められているためです。
(労働条件の明示)
引用:労働基準法
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
前述のようにリファラル採用の報酬を賃金、給与の一部として支払うのであれば、あらかじめ就業規則にその旨を詳しい条件とともに記載する必要があります。就業規則で明示することで、人材を紹介することだけを業務としているのではなく、あくまで日常の業務の一部であると位置付けることができます。
リファラル採用を成功させるポイント
ほかの手法と同じく、リファラル採用も導入して即座に理想的な効果があらわれるとは限りません。紹介される人材が自社にマッチしていなかったり、紹介件数そのものが少なかったりと、想定よりも収穫が少ない場合もあります。
ポイント①|社内で採用への認識を共有する
まず重要なのが、社内でリファラル採用制度の認知を上げることです。リファラル採用を導入したことはもちろん、どのような手法なのか、社員に正しく理解してもらいましょう。
社内の認知度を上げるときに意識すべきポイントが、下記の2点です。
- 自社がリファラル採用を導入する重要性
- 社員がリファラル採用に協力するメリット
自社で行うことによる重要性と社員が得られるメリットについて報酬の制度設計を明確化し社員に伝えることが重要いなります。
ポイント②|社員が紹介しやすくなる環境づくり
リファラル採用は、簡単に言えば友達を会社に連れてきて採用する手法です。ただ、自社が友達や知り合いを連れてきにくい環境の場合、リファラル採用は成功しにくいでしょう。
そのために、後で説明するfreee株式会社では社内で社外の友人と食事をすることができる仕組みを導入するなどの施策を打っています。
こうした、外部に対してもウェルカムな雰囲気を出すことで、自ずと社員が自社に対して知り合いを紹介してくれる可能性が高まるでしょう。
ポイント③|社員と人事担当者が密にコミュニケーションをとる
最終的に最も重要なのが、協力者員とのコミュニケーションを密接にとることです。特に自社にマッチしそうな知り合いや友人がいる社員にはヒアリング等のコミュニケーションをしっかり取るようにしましょう。
また、紹介をしてくれた場合、採用に至らずともしっかり感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。重要なのは、社員と人事担当者ひいては会社との信頼関係を結ぶことが重要になります。
リファラル採用の成功事例
ここではリファラル採用の成功事例ついて3社ほど紹介させていただきます。
事例①|freee株式会社
freee株式会社は社員がリファラル採用を活用しやすい環境作りに成功した事例の一つです。freeeのリクルーティンググループマネージャー 栗林由季氏は成功の要因に下記の3点があるとしています。」
引用元:リファラル採用成功のため、freeeが実施する3つの取組の一部を改変
- 1つ目はオフィスに友達を呼ぶことのハードルを下げ、欲しい人材をしっかり伝える
- 2つ目は採用の重要性や必要性をしっかり伝える
- 3つ目が、協力者に感謝の気持ちと賞賛を伝える
社員向けに夕食の弁当を無料支給するシステムが存在することを利用し、当日夕方までに注文すれば友人分も支給されるようにし、オフィスで一緒に夕食をとるという機会を創出する施策を打っているそうです。こうした施策でリファラル採用がしやすい環境づくりを行なっています。
事例②|株式会社リクルートキャリア
リファラル採用を社員紹介採用「MEET’S」と名付けてブランド化し、中途採用者向けにワークショップを開催するなどしています。その他にも下記のような施策を打ちリファラル採用を成功に導いています。
人事100名が大集合!リファラル採用の始め方から成功事例までを聞いてきました
- 社員紹介採用を「MEET’S」と名付けてブランド化し、ロゴやノベルティを作成
- メルマガの配信や「社内散歩」でリマインドし続ける
- 全員全力面談!「人生を変える1時間にする」ことをゴールにした紹介者との濃密な面談
- 中途新入社員向けにリファラル採用を体感するワークショップの実施
この取り組みにより、リファラル採用が増え、採用に占めるリファラルの割合が飛躍的にUPしました。
事例③|ピクスタ株式会社
従来の人材紹介エージェントや求人サイトではアプローチできなかった層へのアプローチとしてリファラル採用を導入しました。
役員が率先して友人や知人を紹介することで、社員への理解を示し、食事の補助費を出すなどしてリファラル採用を推進しています。その結果、採用された社員のうち15%がリファラル採用となり、翌年度は40%にまで実績が伸びました。
即戦力人材が欲しいなら『社長メシ』
「即戦力となる人材がなかなか見つからない…」とお悩みの方は、ぜひ「社長メシ」をご利用ください。
社長メシは、求職者と企業、双方向でオファーを送り合うことができる、採用マッチングアプリです。社長メシの登録ユーザーは20代を中心に、ビジネスで挑戦し続けるチャレンジャー人材がほとんどであるため、成長意欲の高い人材を効率良く見つけられます。
自社にマッチする人材をスピーディーに採用したいのであれば、ぜひ社長メシをご活用ください。
まとめ
リファラル採用では、自社をよく知っている社員から採用候補者を紹介してもらえるため、自社にマッチする人材を効率的に獲得可能です。
多くの社員に協力してもらうためには、適切な報酬を提示する必要があります。リファラル採用に協力してくれた社員へ報酬を渡すときは、提示方法や渡し方に注意しましょう。
報酬金額をしっかり提示することで、人材の紹介数を増やせる可能性があります。ただし、リファラル採用の報酬金額を設定するのはかなり時間と手間がかかるものです。
「社長メシ」なら、イベント情報を掲載するだけで求職者からオファーが届くため、求める人材を効率良く探せます。採用活動をスピーディーに進めたいのであれば、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。