【なぜ?】早期離職が起きる理由とは?企業のデメリットや対策を解説

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新卒社員や若手社員の早期退職は、多くの企業にとって大きな課題です。高い離職率は人材不足の悪化や採用コストの増加につながり、企業運営に悪影響を及ぼします。近年では、職場環境やキャリアへの不安、労働条件に対する不満が早期退職の主な原因となっており、特に若い世代の自己実現への強い志向がこの問題を一層複雑化させているといえるでしょう。

本記事では、早期退職の原因と企業ができる対策について解説します。

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 早期退職の実態とは

近年、多くの企業が新人や若手社員の「早期離職」に関する問題を抱えているという声をよく耳にします。悩む企業の多くは、問題が深刻化しているにもかかわらず、その根本的な原因が分からないことが少なくありません。この早期離職問題は、あらゆる業界や規模の企業に共通して見られる現象です。

早期退職が進行する背景には、職場環境や上司とのコミュニケーション、仕事の内容やキャリアの見通しに対する不安など、多岐にわたる要因があります。特に、若い世代は自己実現を重視する傾向が強く、職場での満足度が低いと感じると、早期に退職を選択することが多くなります。また、最近ではワークライフバランスを重視する傾向も見られ、過重労働やストレスが影響するケースも少なくありません。

企業は早期離職の問題に対してより積極的に取り組む必要があります。新人や若手社員の声に耳を傾け、職場環境の改善やキャリア支援、メンタルヘルスのケアを行うことが、離職率を下げるための重要な鍵となるでしょう。ここでは、新人や若手における早期退職の実態を見ていきます。

新卒入社

引用:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

新規学卒就職者の離職状況を見てみると、2020年に入社した新卒のうち、3年未満で離職する割合は、大卒者で32.3%、高卒者で37.0%、中卒者で最も高く52.9%と半数以上です。また、1年未満の離職率は、大卒者で10.6%、高卒者で15.1%、中卒者で32.1%といずれも中卒者で最も離職率が高い結果となっています。

離職状況の結果は、少子高齢化が進む中で、働き手の確保がますます難しくなっていることを反映しています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、企業は新たなスキルを求めるようになり、その結果、人材不足感が高まっているのです。新卒者の早期離職は、このような環境において深刻な問題となっています。

中途入社

引用:令和4年雇用動向調査_入職と離職の推移|厚生労働省

令和2年のデータによれば、1年間の入職率は13.9%であったのに対し、離職率は14.2%と、離職率が入職率を上回る結果が出ています。就業形態別に見ると、一般労働者の入職率と離職率はどちらも10.7%と同じですが、パートタイム労働者では入職率が22.2%で、離職率が23.3%と離職率が上回る結果です。

これらのデータから、雇用形態にかかわらず早期離職が深刻な問題であることがうかがえます。企業は、採用後のフォロー体制や職場環境の整備を進め、離職率の改善に取り組む必要があるでしょう。

早期退職に至る理由

早期離職は企業にとって大きな課題です。早期退職に至る理由はさまざまで、個々の環境や職場の文化、または自己のキャリアに対する期待とのギャップなどが影響しています。ここでは、早期退職に至る理由を取り上げます。

仕事内容が合わない

仕事が自分に合わないと感じることは、早期離職の大きな原因の一つです。入社前に聞いていた仕事内容と実際に担当する業務内容にギャップがあったり、業務内容が自分のスキルや興味と合致しなかったりした場合、仕事へのモチベーションが低下し、退職を考えるようになるでしょう。

上司や先輩などとの人間関係が悪い

職場での人間関係は、社員が長期的に働き続けられるかどうかに大きな影響を与えます。上司や先輩との関係がうまくいかない場合、ストレスが溜まりやすくなり、仕事への意欲も低下します。過度な干渉やコミュニケーション不足、または不公平な扱いを受けることで、社員は孤立感を感じたり、職場に居場所がないと感じたりするでしょう。

キャリアや成長が望めない

仕事において自己成長やキャリアアップの機会が見込めないと感じると、社員は仕事に対するモチベーションが低下し、早期退職に至る場合があります。若い社員にとっては、将来的な成長を実感できないことが大きな不安材料となり、転職を考える理由となるでしょう。

労働条件やワークライフバランスが悪い

過重な労働や不適切なワークライフバランスは、早期退職を引き起こす原因です。長時間働くことが当たり前の文化や、休日出勤が頻繁に求められる職場では、社員は精神的・身体的に疲弊し、辞めたいと感じることが増えます。また、仕事とプライベートの時間のバランスが取れないと、家庭や自分の時間を重視する社員は仕事に対する不満が募りやすくなります。

公平な評価がされない

公平な評価が行われないと感じることも、早期退職の一因です。上司の個人的な偏見や評価基準の不明確さが、社員にとって大きな不満となり、その不満が積み重なることで退職を決意する場合があります。特に、同じ努力をしているにもかかわらず、評価が不公平だと感じると、社員のモチベーションは大きく下がり、職場に対する信頼感も失われるでしょう。

早期退職による企業側のデメリット

企業が抱える早期退職の問題は、単なる人員の減少にとどまらず、さまざまなデメリットを引き起こします。ここでは、採用コストの高騰、業務効率の低下、企業イメージの低下などのデメリットを紹介します。

採用コストの高騰

新しい社員を採用し、育成するためには、多くの時間と費用がかかります。株式会社リクルートが発表した「就職白書2020」によると、2018年の中途採用一人あたりの平均採用コストは83万円で、2019年には103.3万円にまで上昇しました。また、産労総合研究所の「2022年度(第46回)教育研修費用の実態調査」によれば、2021年度の一人あたりの教育研修費用は2.9万円です。調査結果から分かるとおり、早期退職が発生するとこれまでかけたコストが無駄になり、企業の財務状況に悪影響を及ぼすことが避けられないでしょう。

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業務効率の低下

早期退職が頻繁に起こると、企業は常に人材不足に直面することになります。必要な経験や知識が社内に蓄積されず、新入社員が育つ環境が整わないため、業務の継続性や効率性が低下するでしょう。残された社員には、業務負担が集中し、教育や人材育成にかけられる時間も減少します。この結果、社員の成長が阻害され、企業の成長にも深刻な影響を与えかねません。

企業イメージの低下

早期退職によって人材の入れ替えが頻繁に起こると、企業内の担当者が変わることが多く、顧客や取引先に対しても社内の不安定さが伝わってしまい、企業の信頼性が低下するおそれがあります。また、求職者が企業のホームページや四季報、ハローワークなどで離職率の情報を目にすることで、不安を感じ、選考への応募を控える可能性も考えられるでしょう。企業にとっては、信頼を築くことが長期的な成功に直結するため、早期退職による影響は深刻です。

早期退職を防ぐためには

企業が早期退職を防ぐためには、入社前と入社後の両面で対策を講じることが大切です。ここでは、入社前の対策に焦点を当てて、正確な求人情報の提供とミスマッチを防ぐ選考プロセスについて紹介します。

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入社前

ここでは、入社前の対策を紹介します。

正確な求人情報の提供

企業が新卒や中途採用の際に、正確かつ具体的な求人情報を提供すれば、早期退職を防ぐための重要なステップです。仕事内容、職場環境、待遇などの詳細をしっかりと伝えれば、求職者は自身の希望や価値観と合致するかを見極めやすくなります。曖昧な情報や誇張された表現は、入社後のミスマッチを引き起こし、結果として早期退職につながる可能性が高まります。

ミスマッチを防ぐ選考プロセス

選考プロセスにおいて、企業と求職者の価値観をすり合わせることが大切です。具体的には、関係部署との連携を強化し、実際の業務に近いシミュレーションやケーススタディを取り入れることで、応募者が仕事の内容を理解しやすくなります。また、インターンシップを実施すれば、実際の職場環境や業務の雰囲気を体験できる機会を与えられるため、ミスマッチ対策として効果的です。求職者は自身に合った職場かどうかを判断しやすくなり、入社後のミスマッチを減少させられるでしょう。

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入社後

ここでは、入社後の対策を紹介します。

オンボーディングの充実

新入社員が早期に組織に馴染むためには、研修や実務教育だけでなく、企業文化や人間関係について学ぶことが大切です。充実したオンボーディングプログラムを実施すれば、若手社員がスムーズに環境に適応しやすくなるでしょう。オンボーディングは、業務の理解を深めるだけでなく、同僚や上司との信頼関係を築く機会を提供する目的もあります。企業の雰囲気や関係性に対する理解を深められることで、若手社員の定着化が図られ、早期離職のリスク減少が期待できるでしょう。

定期的な面談・コミュニケーションの場を設ける

フォローアップ面談は、若手社員が入社後に抱える悩みや不安を理解し、組織への早期適応を支援するための大切な手段です。通常の評価面談とは異なり、現状の把握や課題のヒアリングを主な目的とし、定期的に行われます。入社1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後といったタイミングで実施すれば、社員の状況を把握し、必要なサポートを提供できるようになるでしょう。また、社内コミュニケーションの活性化も重要で、業務に関係のない雑談やランチの機会を設けることで、社員同士の関係が深まり、職場への定着率を向上させることが期待できます。

ワークライフバランスの確保

若手社員はプライベートの充実を重視する傾向が強いため、ワークライフバランスの推進が早期離職を防ぐポイントの一つです。長時間労働や休日出勤を強いるのではなく、テレワークやフレックスタイム制度を導入して柔軟な働き方を提供し、効率的に成果を上げられる環境を整えることが大切です。ワークライフバランスを尊重する姿勢を見せることで、若手社員の定着率が向上すれば、企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。

まとめ:早期退職をさらなる企業力の向上を

早期退職の課題を解決するには、入社前からのミスマッチ防止と入社後のサポートが重要です。正確な求人情報の提供やインターンシップの活用、さらに充実したオンボーディングや定期的な面談を通じて、職場環境の改善や従業員との信頼関係構築を図ることで、定着率を向上させ、企業の持続的な成長を支援できるでしょう。

早期退職対策として挙げられるミスマッチを防止するためには、企業が求める人材を効率よく確保する必要があります。会社の挑戦に共感してくれる意欲の高い人材を確保したいと考えている方は、ぜしアプリ「社長メシ」をお試しください。