面接官のスキルは、企業の採用活動の成否を左右する重要なポイントです。人材不足が課題となる現代では、自社に適した人材を効率よく見極める力や、応募者を引きつける魅力が求められています。本記事では、面接官トレーニングの目的やメリット、必要なスキル、具体的な実践方法について詳しく解説します。
面接官トレーニングとは
面接官トレーニングとは、面接する上で必要なスキルや遵守したいルールなどを学び、習得する研修です。
人材不足の今では「自社にあった人材を効率よく獲得したい」と考える企業が増えています。
そのため、面接官は応募者の経歴やスキル、面接の応対から資質や志望度を見極めるだけではなく、自社の魅力を伝え応募者を惹きつけるスキルが必要です。
また面接官の対応によっては「パワハラがあった」「法律上NGな質問があった」など、応募者にマイナスイメージを与えてしまう可能性があります。
面接官トレーニングにより、必要なスキルや遵守したいルールを学び・習得することで、応募者にマイナスイメージを与えることなく、応募者の適性を見極め、さらに自社の魅力を充分に伝えることが叶うでしょう。そのため、自社にあった人材を獲得しやすくなります。
面接官トレーニングの目的
面接官トレーニングの目的としては以下の5つがあります。
①面接官の応募者を見極める力を高める
②面接官としての魅力を高め、応募者を惹きつける力を高める
③面接官による評価のバラつきをなくす
④面接官が不適切な発言・態度しない
⑤以上の4つを、面接時間内に行う
一つひとつ解説していきます。
面接官の応募者を見極める力を高める
面接官のトレーニング目的の1つ目は「面接官の応募者を見極める力を高める」ためです。
面接官は、応募者が自社に適性がある人材なのか、活躍できそうな人材なのか、見極める必要があります。
面接官トレーニングをすると、限られた時間の中で応募者を見極められるようになります。
面接官としての魅力を高め、応募者を惹きつける力を高める
面接官のトレーニング目的の2つ目は「面接官としての魅力を高め、応募者を惹きつける力を高める」ためです。
面接を通して自社をアピールすることで、応募者の志望度を高められ、仕事に対する動機づけができます。
どのようにアピールしていくのか、また応募者を動機付けするのかを面接官トレーニングで習得することで、内定辞退を防げるのです。
面接官による評価のバラつきをなくす
面接官のトレーニング目的の3つ目は「面接官による評価のバラつきをなくす」ためです。
面接官によって評価基準や見極めるポイントが異なっていると、内定辞退や早期退職が発生した際の理由や原因が分かりづらくなります。
面接官全員でセミナーや研修を受けることで、評価基準の認識を統一できます。
面接官が不適切な発言・態度をしない
面接官のトレーニング目的の4つ目は「面接官が不適切な発言・態度をしない」ためです。
面接後に応募者が辞退した理由として「面接官からセクハラ発言された」「面接官の態度がよくなかった」などの、面接官の発言や態度がきっかけになることが多くあります。
しかし、面接官の発言や態度は、適切な面接官トレーニングを受け、事前に対応しておけば防げる部分です。
以上の4つを面接時間内に行う
面接官のトレーニング目的の5つ目は「以上の4つの目的を面接時間に行う」ためです。
面接時間は限られた時間で行われます。その中で、4つの目的を達成するには、面接官の個人のスキルや努力に頼るのではなく、適切なトレーニングや研修を受けてもらう必要があるのです。
面接官トレーニングのメリット
面接官トレーニングのメリットとして以下の3つがあります。
①面接スキルの向上
②企業イメージの向上
③採用コストの最適化
一つひとつ解説します。
面接スキルの向上
面接官トレーニングの1つ目のメリットは「面接スキルの向上」です。
採用後のミスマッチがおこる原因の1つとして、面接時に面接官と応募者の相互理解不足があげられます。
相互理解ができない理由としては、面接官が面接の目的や採用基準を十分に理解していない、面接官からの質問の深堀が足りず応募者を理解仕切れないまま採用してしまったなどがあります。
面接官トレーニングで評価の基準や質問項目を把握することで、面接で適切に応募者を評価できるようになるでしょう。
企業イメージの向上
面接官トレーニングの2つ目のメリットは「企業イメージの向上」です。
企業イメージの向上のポイントは「自社の魅力をアピールすること」と「面接官が不適切な発言や行動をとらないこと」があります。
現在は「売り手市場」のため、良い人材がいたとしても自社に入社してもらえないこともあります。良い人材を確保するためにも企業イメージの向上をさせることは大切なポイントです。また、応募者からのイメージが良くなることで、内定辞退を防げます。
企業イメージの向上は、事前に必要なことを把握し練習することで解決できます。
採用コストの最適化
面接官トレーニングの3つ目のメリットは「採用コストの最適化」です。
近年、新卒採用と中途採用はともに採用コストが増えてきています。さらにコストをかけて採用した人が早期退職してしまったという話も少なくありません。採用コストを最適化するためにも、採用業務の進め方を見直し、ミスマッチを防いでいくことが大切です。
トレーニングを受けた面接官は、候補者のスキルや適性を的確に評価し、より高い精度で組織にフィットする人材を採用できます。そのため、ミスマッチを防ぎ、採用後の定着率が向上するでしょう。初期投資としてトレーニング費用がかかるものの、長期的に見ると無駄な再採用コストの削減や労働力の安定確保につながり、結果的に採用コストを最適化する効果が期待できます。
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面接官がトレーニングすべきスキル
面接官がトレーニングすべきスキルとして、以下の3つがあります。
① 質問力
②コミュニケーション力
③ ビジネスマナー
④ 法令やコンプライアンスの知識
⑤訴求力
一つひとつ解説していきます。
質問力
面接官は、面接時の質問を通して応募者から必要な情報を得なければなりません。質問力がなく、必要な情報が得られないと応募者の適性や応募書類からは見えない能力などをはかることが難しくなります。
応募者の経験やスキルをより深く理解するためにも質問力は必須です。
以下のような質問を通して、応募者の適性を見極めましょう。
・志望度を見極める質問例
-他社ではなく、当社を志望した理由を教えてください
-入社後は、どんなキャリアをイメージしていますか。
・適性を見極める質問例
-〇〇の業務のご経験、スキルはありますか。
-前職でつらかった経験はなんですか。その際に、どうやって乗り越えましたか。
・応募書類などからは見えないスキルを見極める質問例
-働くモチベーションはなんですか。
-働くうえで大切にしている価値観や考えを教えてください。
コミュニケーション力
面接官のコミュニケーション力は、面接の場を和ませ、応募者から必要な情報を引き出すポイントです。
・応募者の話を傾聴する
・笑顔で応対する
・丁寧な言葉遣い、敬語で話す
など、良いコミュニケーションをすると、応募者に好印象を与えられます。
ビジネスマナー
面接官のビジネスマナーは、企業の印象を決めるものとなります。また、応募者は面接官から企業の社風や価値観を感じ取るため重要なポイントです。
以下はビジネスマナーで大切なポイントの一例です。
・服装:社風や企業イメージにあった適切な服装になっているか
・挨拶:明るく笑顔でできているか
・時間:面接の予定時間通りに実施・終了できているか
・言葉遣い:丁寧な言葉遣い、また敬語を使用しているか
・姿勢・目線:相手の目を見て話をしているか、相手に身体を向け姿勢を正しているか
・表情:笑顔で応対しているか
不適切な態度や発言、服装は、企業のイメージにも関わります。
面接官は、応募者に求めるビジネスマナーを自身が守れているかを見直しましょう。
法令やコンプライアンスの知識
応募者にマイナスイメージをもたれないために、法令やコンプライアンスの知識は大切です。
・セクハラ発言
・パワハラ発言
・法令上NGな質問
などをしないように、事前に質問項目を決めておく、NGキーワードや質問を把握しておくなどの対策をしておきましょう。
訴求力
応募者に自社の魅力を伝え、志望度や仕事への動機を高めることは内定辞退を防ぐことにつながります。企業理念や事業内容・社風や求める人物像を分かりやすく伝えられると、面接時に応募者の企業理解が深まり、志望度を高められます。また、適性なども相互理解できるためミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。
面接官トレーニングの方法
面接官のトレーニング方法には以下のような方法があります。
①ロールプレイングの実施
②外部講師やコンサルタントの活用
③関連書籍を参考にする
一つひとつ解説します。
ロールプレイングの実施
面接官役と応募者役に分かれて模擬面接のロールプレイングをします。
ロールプレイング後は、応募者役の人からフィードバックをもらえます。客観的な評価は改善ポイントが分かりやすいため、面接のスキルも上がりやすいです。
また実践的に練習できるため、実際の面接でも練習したとおりに挑めるでしょう。
外部講師やコンサルタントの活用
外部講師やコンサルタントの活用もおすすめです。
外部講師やコンサルタントは専門知識があるため、面接時の質問から、評価基準・法令やコンプライアンスなど、面接に関する様々なことを教えてもらえます。また他社の事例なども学べるため、自社の面接スキルを底上げできます。
関連書籍を参考にする
面接スキルを上げるためには、関連書籍を参考にするのもおすすめです。
面接に関する書籍は多数あり、面接時の質問から評価方法、応募者の話を傾聴する際のポイントなど面接に関することは書籍から学べます。
書籍の場合、面接官が気になっていること、スキルアップしたい課題が明確であれば、それをテーマに取り上げた書籍を読めば、重点的に学べるのも特徴です。
ここでは、おすすめの書籍を3冊ご紹介します。
採用に強い会社は何をしているか ~52の事例から読み解く採用の原理原則 | 青田 努
引用:amazon『採用に強い会社は何をしているか ~52の事例から読み解く採用の原理原則』
本書は、求職者の本質を引き出す「質問の技術」にフォーカスし、面接の目的に沿った効果的な質問の作り方を解説しています。
シチュエーションごとの対応方法や具体例が豊富に掲載されており、特に多くの面接官初心者に「参考になった一冊」として挙げられています。採用の質を向上させるための実践的なヒントが詰まったこの本は、面接官として質問力を向上させたい方に特におすすめとなっています。
すごい採用―考え方を変えれば採用はうまくいく | 大谷 昌継
引用:amazon『すごい採用―考え方を変えれば採用はうまくいく』
本書は、「人材をどう見極めるか」「どのような視点で採用計画を立てるべきか」といった採用活動の本質や実践的なアプローチについて書かれています。また、シチュエーションごとの具体的な事例も数多く紹介されており、採用プロセスにすぐに活用できる知識を得ることができます。面接官や人事担当者としての視点を磨き、採用の質を高めたい方にとっておすすめの一冊です。
採用基準 | 伊賀 泰代
引用:amazon『採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの』
本書は、企業が「真に求める人材」を見極めるための具体的な基準と方法を解説しています。
著者がマッキンゼーで採用に携わった経験をもとに、リーダーシップやポテンシャルの評価、採用面接での効果的な質問術など、実践的な知識が豊富に詰まっています。特に、面接官としての「見る目」を鍛えたい方や採用全体の質を向上させたい方にとっておすすめの一冊となっています。
面接官トレーニングのポイント
面接官トレーニングをすることは大切ですが、ただトレーニングするだけだと効果がでないこともあります。面接官トレーニングのポイントは以下の2つです。
①現状の整理と目標設定を行う
②効果測定を行う
一つひとつ解説します。
現状の整理と目標設定を行う
面接官トレーニングのポイント1つ目は「現状の整理と目標設定を行う」ことです。
面接官トレーニングを行う前に、自社の採用の課題や面接官の課題を整理しておくのが大切です。
内定辞退が多い、選考中の辞退が多い、早期離職者が多いなど、課題によって必要なトレーニングは異なります。さらに、採用の課題はどの部分で発生するのかも明確にしておくと面接官トレーニングの取り組みも明確になるでしょう。
また、採用の目標設定を行うと、現状との差分が明確になるため必要な取り組みが分かります。
効果測定を行う
面接官トレーニングのポイント2つ目は「効果測定を行う」です。
できる範囲で、効果測定を行い内定辞退率や早期離職率を把握すれば、面接トレーニング前と後の数値の変化を面接官も感じられるため、面接官自身のモチベーションにもつながりやすくなります。
また効果測定で得た数値をもとに、次に必要な課題も見えやすくなります。
面接官トレーニングに関するよくある質問
面接官トレーニングに関するよくある質問をまとめました。
質問 ⇒ 中小企業でもトレーニングは必要ですか?
回答 ⇒はい、面接官トレーニングは企業の規模に関係なく重要です。中小企業ほど限られたリソースで適切な人材を確保することが重要なため、面接官のスキルアップによる採用の精度向上は大きな価値があります。
質問 ⇒面接官トレーニングを実施する上での注意点は何ですか?
回答 ⇒ トレーニング実施の際は、目的を明確にし、現状の面接官の課題を把握することが大切です。また、トレーニング後のフォローアップも重要で、定期的にスキルアップを確認することで、トレーニングの効果を持続できます。
まとめ:面接官のトレーニングを実施して、面接のレベルアップを!
応募者のニーズが変化しやすい現代では、新卒採用・中途採用に関わらず、内定辞退や早期離職が多く、かけた採用コストが無駄になることもあります。人材不足の今、効率的に採用を進めるために面接官トレーニングは必須といえます。また自社のマンパワーで乗り切るより、面接官トレーニングのような外部業者やコンサルなどの専門家に依頼すると効果もでやすいです。社長メシでは、企業様に合わせて採用活動のカスタマイズが可能です。人材の選択から、面接形式まで採用を成功させるためのサポート体制があります。
また成果報酬なく、一律の料金プランで採用コストも抑えることが可能です。効率の良い採用を目指して、社長メシを利用してみてはいかがでしょうか。企業情報を無料掲載できるフリープランの活用や、資料請求もあるため、気軽にお問い合わせください。