採用活動をする際に採用KPIを設定することは非常に重要です。なぜなら、定量的な数値目標を設定することで、ロジカルに現状のボトルネックを特定してPDCAサイクルを回して採用活動の成功確度を上げることができるからです。
この記事では、採用KPIとは何か?立て方や運用方法、KPIの事例について紹介していきます。
最後までお付き合いいただけたらと思います。また、採用KPIを立てる際に必要なKPI算出用のエクセルテンプレートをつけているのでぜひDLしてみてください。
採用KPIについて
採用KPIとは?
「採用KPI」とは、「Key Performance Indicator(主要業績評価指標)」の一種で、人材採用プロセスの効率と効果を測定するために使用される指標を指します。
採用KPIは、採用KGIを達成するために達成すべき数値目標です。採用KGIが入社数が目標なら、下記の図解のようにブレイクダウンできます。
KPIをしっかり運用できれば、採用活動上でのボトルネックがどこにあるのかを瞬時に把握し、必要に応じて改善策を講じることができます。
採用KGIと採用KPIの関係性
採用KGI(Key Goal Indicator)は、人材採用における採用経営目標達成指標のことを指します。採用戦略等の策定で決定された採用KGIが決定したのちに、目標達成に資する採用KPIが策定される流れになります。
これらの項目のうち優先的に解決すべき課題がKPIとして採用されます。
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採用活動にKPIを立てる理由
採用KPIを設定する理由は、主に採用活動の効果を定量的に測定し、改善するためです。具体的には下記の3つのメリットが想定されます。
採用目標を定量化できる
採用KPIを設定することで、目標を定量化できます。定量化することで、目標への客観性が担保されます。これにより、下記のようなメリットがあります。
- 組織やチームで動く際の共通認識を生み出しやすくなる
- 数値データを蓄積しておくことで数値分析による課題を可視化できる
採用活動の効率化できる
採用KPIの策定によって、各担当者が目指すべき目標が明確化されます。各担当者が客観的な目標に対して行動が可能になります。結果として、組織やチームの動きが効率化されることが期待されます。
さらに、企業や組織が採用活動の成功を評価する際に、採用KPIを活用することで、事業のボトルネックを特定しやすくなり採用プロセスを効率化に向けた動きを実行しやすくなります。
採用計画改善のきっかけになる
採用KPIの策定により採用計画改善のきっかけになります。
採用KPIの進捗管理をすることができれば、ボトルネックの発見と改善策の実行が可能になります。これにより、採用戦略や計画のこまめな修正が可能になります。
採用KPIの立て方の4ステップ
続いて、採用KPIの立て方についてステップ毎に解説していきます。主に下記の4ステップが想定されます。
STEP①|KGIの策定
「いつまでに、どのような人材を、どの程度確保するのか」について採用戦略や採用計画で明確化されたものが採用KGIに位置付けられます。例えば、「営業人材5人採用」等があげられます。
STEP①|選考フローの明確化
続いて、採用KPIを定める前に採用フローの整理を行いましょう。多くの場合採用プロセスは下記のように整理することができます。また、その際に過去実績を用いて歩留まり率を算出し、どこがボトルネックになっているか洗い出しましょう。
さらに細かく分解すれば、書類選考や一次面接や二次面接が含まれますがここでは割愛します。
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STEP②|KPIツリーへの落とし込み
KGIが策定されたら、採用プロセスに応じて対応すべき数値項目を網羅的に洗い出しましょう。洗い出しを実施する場合、ロジックツリーに落とし込んで整理するのが効果的です。
採用確定人数がKGIの場合下記の図のように分解することができます。
ロジックツリーへの落とし込みでは、小学生の算数レベルで分解することが可能です。数字への苦手意識を持たずに取り組みましょう。
STEP③|ボトルネックの特定
KPIツリーの作成によって、網羅的に数値項目を洗い出すことができました。ただ、これらを全てKPIに策定してはあいけません。なぜなら、網羅性の担保によって採用成功のセンターピンが見えにくくなるからです。
ですので、KGI達成にとって最も効果的な数値項目をできれば1つ、多くて3つに絞りましょう。これによりKPIの策定が完了します。
実務で使われる採用KPIの紹介
採用KPIに採用される項目としては様々です。ここでは実務で置かれることの多いKGIから、どのような採用KPIをおくべきか解説していきます。あくまで事例ですが、下記のようにKPIツリーを見本にKPIの事例について解説していきます。
事例①|応募者数
例えば、応募者数がKGIに置かれた場合、採用KPIとして考慮されるべきは下記の項目に分解できます。
アプローチ人数×応募率
応募率であれば、適切に担当者が自社の魅力を伝えられているかという点が大きく関わります。候補者へのアプローチ人数であれば、採用チャネルの展開数や、採用イベントの出店数などがあげられます。
事例②|書類選考突破数
採用者数がKGIに置かれた場合、下記のように分解することが可能です。
書類選考突破数=応募者数×面接突破率
応募者数に関しては事例①で述べました。面接突破率の場合、応募者募集の際のアプローチでやり方でのアンマッチや、採用チャネルと自社の相性が悪い可能性があります。
事例③|内定者数
内定者数がKGIの場合下記のように分解することができます。
内定者数=書類選考突破数×内定率
内定率は、内定辞退者へのアプローチによって改善することができます。内定通知を渡したあとのコミュニケーションが不十分な場合や、採用者数の質の見極めができてない場合があります。適宜、オファー面談による囲い込みや内定者アルバイト制度の採用によって囲い込みをすることで防ぐことができます。
事例④|コスト
続いて、採用者数は担保できているが、採用コストへの課題感がKGIとなった場合です。その場合、下記のように分解することができます。
採用コスト=採用人数×採用単価
例えば、採用人数を削って少数精鋭にしてみる等で採用人数は解決できそうです。例えば、厳選採用を実行する企業も見られます。
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また採用単価は、採用チャネルでどこがボトルネックになっているかを究明しましょう。外部コストへの依存が大きい場合、採用単価は上がりやすいです。リファラル採用やダイレクトリクルーティング等の手段を検討する必要があります。
採用KPIの運用ステップ
採用KPIを定めたら、実行に向けた準備と運用を開始する必要があります。主な流れとして下記の4ステップがあげられます。
それぞれ詳細に解説していきます。
STEP①|担当者への目標のブレイクダウン
採用KPI決定したら、さらにKPIをブレイクダウンして各担当者に数値を割り振っていきます。例えば入社数がKPIに設定された場合は、下記のように数値項目をブレイクダウンします。そして、数値項目を各担当者に割り振っていきます。
入社数=内定者数(応募者数×面接突破率)-内定辞退者(採用者数×内定辞退率)
例えば、採用チャネル別で入社数を分解して
STEP②|採用KPIの定期的な数値管理
採用KPIは、できれば月次、せめて3ヶ月に一回は振り返りをするようにしましょう。どうしても集計コストがかかってしまい後回しにしてしまうかもしれません。しかし、定期的に採用KPIを可視化しておくことで、採用成功への確度を効率的に上げることができます。
STEP③|予実差異の分析
定期的に採用KPIをチェックする体制ができたら、実績と目標の差異を分析しましょう。その際も「気合いが足りない」と定性的に捉えるのではなく、分解した数値のどこにボトルネックがあるのかを分析しましょう。
STEP④|改善策の決定とネクストアクションの決定
分析が完了しボトルネックを特定したら改善策を編み出しましょう。例えば下記の計算式のうち、内定辞退率が高い場合は内定通知後のアプローチを増やすとうの改善策を試みてみましょう。
入社数=内定者数(応募者数×面接突破率)-内定辞退者(採用者数×内定辞退率)
まとめ
採用活動をする際に採用KPIを設定することは非常に重要です。なぜなら、定量的な数値目標を設定することで、ロジカルに現状のボトルネックを特定してPDCAサイクルを回して採用活動の成功確度を上げることができるからです。
この記事では、採用KPIとは何か?立て方や運用方法、KPIの事例について紹介してきました。また、採用KPIを立てる際に必要なKPIツリーのエクセルテンプレートをつけているのでぜひDLしてみてください。