売り手市場が続く新卒採用市場では、内定辞退が頻発しており多くの企業が対応に悩んでいます。内定辞退は、人員計画の見直しや追加採用の発生、企業イメージの低下など企業活動全体に影響を及ぼす重要な課題です。そのため、多くの企業にとって内定辞退への対策は避けて通れないものとなっています。
本記事では、新卒の内定辞退の現状や主な理由、内定辞退を減らすための対策について詳しく解説します。ぜひ、自社の採用活動に生かしてください。
新卒採用における内定辞退の現状
内定を承諾した後に、学生が内定を辞退することを「内定辞退」と定義します。企業からの内定取り消しや内定承諾前の辞退は含みません。
また、内定辞退は法律違反ではなく、企業側に内定辞退を拒否する権利はありません。そのため、企業は内定辞退の現状を正しく理解したうえで、辞退を防ぐための取り組みが求められます。
ここではまず、新卒採用における内定辞退の現状について解説します。
内定辞退経験者は約6割|平均辞退社数は3.4社
卒業時点で1社以上の内定辞退を経験している学生は6割を超え、学生1人あたりの内定辞退社数は平均で3.4社に達しています。
内定辞退の割合を示す指標を「内定辞退率」といい、一般的に内定承諾数÷内定辞退者数×100」で算出されます。採用活動には多くの経費や時間がかかるため、採用の安定化を図るうえでは、内定辞退率をいかに下げるかが重要な課題です。
しかし、内定辞退率は直近3年間ほぼ横ばいで、60%以上の高水準で推移しています。つまり、新卒で内定を承諾した学生の半数以上が、最終的に内定辞退している状況なのです。
参考:就職みらい研究所「就職プロセス調査(2023年3月度 内定状況)」
売り手市場の進行で内定辞退が増加傾向
内定辞退が増加傾向にある背景には、新卒採用市場が売り手市場であることが挙げられます。

出典:株式会社インディードリクルートパートナーズ「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」プレスリリース
2026年3月卒の新卒における有効求人倍率は1.66倍と高水準で、売り手市場が継続しています。その結果、採用市場は学生優位となって、1人の学生に対して複数の内定が出る状況が一般化しているのです。
内定承諾後も就職活動を続ける学生は約50%に達し、「内定承諾=入社」の考えを持たない学生が増えてきました。複数の内定先を比較検討して、最終的な入社先を判断したいと考える学生が多いと推測されます。
さらに、約5人に1人は内定を承諾しても入社の必要性を感じないとのデータも存在し、内定辞退に対する心理的ハードルは、以前よりも低下しているといえるでしょう。
業界・企業規模別の内定辞退の特徴
業界・企業規模別に内定辞退率を調べてみると、一定の違いがあることが分かります。内定承諾者が多い製造業・情報通信業・金融業と保険業をピックアップして比較したところ、金融業と保険業を希望する学生の47.5%が、異業種の内定を辞退していて、最も高い結果でした。これに対して、製造業は37.5%、情報通信業は30.9%であったため、業界によって内定辞退率に差があることが分かります。
また、企業規模別に見ると、従業員数500人未満の中小規模の企業の内定を承諾した学生のうち、45.6%がそれより規模の大きい企業の内定を辞退していることが分かりました。この結果から、企業規模が大きいからといって、必ずしも内定辞退されにくいわけではないと考えられます。
参考:パーソル総合研究所 「新卒者の内定辞退に関する定量調査」
新卒の内定辞退による企業のデメリット
新卒採用の内定辞退は、多くの企業にとって深刻な問題です。採用活動には多大な時間とコストがかかりますが、入社直前の内定辞退によって、それまでの取り組みが無駄になってしまうケースも少なくありません。内定辞退は、人員計画の見直しや追加採用の発生、企業イメージの低下など企業活動全体に影響を及ぼすのです。
ここでは、新卒の内定辞退によって企業が被る以下のデメリットについて解説します。
- 人員計画にズレが生じる
- 採用コストが増大する
- 企業イメージが低下するリスクがある
人員計画にズレが生じる
内定辞退があると人員計画にズレが生じてしまうため、現場の疲弊や生産性の低下を招くおそれがあります。本来配置されるはずだった人員が不足することで、事業計画の遅延や既存社員への業務負担の集中が起こって、会社全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
採用コストが増大する
内定辞退が発生すると、これまで採用活動に投じてきたコストが無駄になるだけでなく、追加の採用コストが発生することで、結果的に採用コスト全体が増大してしまいます。
採用には、選考に関わった社員の人件費や求人広告費などの膨大なコストがかかっています。欠員を補うためには、再度採用活動をする分の追加のコストと時間が発生してしまうのです。
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企業イメージが低下するリスクがある
内定辞退率が高い企業は、企業イメージが低下するリスクがあります。職場環境や条件に何らかの問題があるのではないかといった憶測を呼び、ネガティブな印象につながる可能性があるのです。
現在はインターネットやSNSを通じて、容易に意見が拡散してしまいます。その結果、応募者数の減少や他の内定者の意見によるさらなる内定辞退を招くおそれがあります。

新卒が内定辞退する主な理由

新卒が内定辞退するのには様々な理由があります。売り手市場の影響もあって、学生は内定先を比較しながら、より納得できる選択をしようとしています。そのため、企業側は多方面への配慮が求められ、内定辞退への対応は決して容易ではありません。
ここでは、新卒が内定辞退する主な理由である以下について整理していきます。
- 志望度が高い企業から内定を獲得した
- 会社の価値観や風土とのミスマッチ
- 働くイメージが持てない・仕事の面白さが分からない
- 会社独自の魅力・強みが分からない
- 給与・待遇面が希望条件に合わない
- 内定後のフォロー不足
- 家族や口コミなど第3者の影響
志望度が高い企業から内定を獲得した
多くの就活生は同時に複数の企業へ応募しているため、企業から内定が出ると、ひとまず承諾するケースが少なくありません。志望度の高い企業の選考結果が後に控えている場合には、万が一不採用となった場合に備えた滑り止めとして内定を承諾することもあります。
そのため、志望の高い企業から内定を得た段階で、すでに承諾していた内定を辞退するケースが発生します。
会社の価値観や風土とのミスマッチ
採用活動の対応や企業訪問、従業員との懇親会などを通じて、会社の価値観が合わないと感じ、内定を辞退する学生もいます。採用担当者に対しては好印象を持っていたものの、実際の現場社員と交流する中でミスマッチを感じてしまうケースも少なくありません。
価値観や風土は目に見えにくいため、学生に「なんとなく合わないかもしれない」という印象を与えないような対策が必要です。
働くイメージが持てない・仕事の面白さが分からない
入社後の仕事内容やキャリアパスが十分に示されておらず、働くイメージが持てない場合、モチベーションが高まらないことを理由に内定辞退に至る学生もいます。社会人経験のない学生にとって、業務内容が曖昧なままであったり、仕事のやりがいが想像できなかったりすることは、不安材料となりやすいものです。
そのため、入社後に担当する仕事内容や研修スケジュール、将来的なキャリアパスを入社前の段階で具体的に伝えることが重要です。
会社独自の魅力・強みが分からない
学生に選ばれるためには、会社独自の魅力や強みをアピールする必要があります。特に成長意欲の強い学生は、その会社に入ることでどのような経験やスキルを得られるのかを重視する傾向があります。
また、企業の安定性も重要なアピールポイントです。他社にはない自社の独自性や競争優位性、職場環境等における独自の魅力・強みを具体的に伝えるよう意識しましょう。
給与・待遇面が希望条件に合わない
給与や待遇面が学生の希望する条件に合わない場合、内定辞退につながる可能性が高いといえます。
選考初期では限られた情報しか公開されていなくても、選考が進むにつれて、仕事内容や勤務地、給与などの詳細な情報が分かってきます。その段階で、学生が想定していた条件との不一致や福利厚生への不満が生じると、内定辞退の原因となるでしょう。
内定後のフォロー不足
内定後のフォローが不足すると、就活生が不安を抱き、内定辞退につながる可能性があります。一般的に内定通知から内定式や入社式までの期間は長くなるため、その間に企業からの連絡が少なかったり、途絶えたりすると、学生は将来に対する不安を強めてしまいます。
特に新卒の場合は社会人経験がなく、働くこと自体に漠然とした不安を抱きやすいため、内定後の継続的なフォローが重要です。
家族や口コミなど第3者の影響
家族からの反対やインターネット上の口コミなど、第3者の影響を受けて内定辞退に至る学生もいます。本人は入社意欲を持っていても、労働条件が家族の期待に添わない場合、反対されるケースは少なくありません。
特に、給与の低さや残業時間の多さ、休日出勤の有無などは子どもの将来を心配する親が懸念を抱きやすいポイントです。また、現在はインターネット検索によって、企業の口コミを容易に調べられます。ネガティブな情報を目にしたことで不安を感じ、内定辞退につながるケースも考えられるでしょう。

新卒の内定辞退を防止する対策6選!

内定辞退を防ぐためには、制度や条件を整えるだけでなく、内定者の立場に立ち細かな配慮を積み重ねて不安を解消していくことが重要です。選考中の対応や内定後のフォロー次第で、学生の入社意欲は大きく左右されます。
ここでは、新卒の内定辞退を防止するために、企業が実践すべき具体的な対策を6つ紹介します。
①.求人・オファー内容を明確にする
求人・オファー内容はできる限り明確にし、内定後に認識の相違が生じないようにすることが重要です。そのためには、情報の透明性を確保し、質の高い情報を発信することが欠かせません。
特に、以下のような項目は事前に明確にしておく必要があるでしょう。
・職務内容
・賞与
・給与
・勤務地
・福利厚生
・転勤の有無
・労働時間
・休日出勤の有無
・リモートワークの可否
また、会社の良い面だけでなく、課題や大変な点といった悪い面もあわせて伝えることで、入社後のギャップを抑えられます。内定辞退を防止するためには、求人段階で条件に納得した人材のみを集めることが重要です。
②.選考時点でのミスマッチを防止する
内定辞退を減らすためには、面接官の質を向上させ、選考段階でのミスマッチを防ぐことが重要です。選考過程において学生と接するのは主に面接官であるため、求める人材を正しく見極めて、学生の意欲を高める動機づけができる面接官の存在が、採用成功のカギとなってきます。
一方で、面接官の育成に十分な力を入れられていない企業も少なくありません。面接を通じて企業の魅力を伝え、学生と価値観のすり合わせや共感を図れる面接官を育成するためにも、面接官の育成プログラムの導入を検討すると良いでしょう。
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③.社内見学や現場社員との接点づくり
社内見学や現場社員との接点を設けて、社内の雰囲気の良さを学生にアピールすることが効果的です。就職先を選ぶうえで「会社の雰囲気」を重視する学生は多く、実際の働く環境を知りたいと考えています。
内定後に社内見学の時間を設けたり、現場社員や先輩社員との交流・対話の機会を用意したりして、会社や社員の雰囲気、価値観を実際に体感してもらうことが重要なのです。
ただし、接し方や当日の雰囲気づくりによっては、逆にマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。学生を迎える意識を社内全体で共有し、丁寧な対応を心がけましょう。
④.選考中のレスポンスを早め不安を解消
売り手市場の採用活動において、他社よりも早く求めている人材を確保することは非常に重要なため、選考中のレスポンスは迅速に行うのが大切です。合否連絡や面接日程の調整の連絡などを早めにすることで、他社よりも早い人材の確保が可能です。
また、迅速な連絡はスムーズなコミュニケーションにつながるため、学生が抱えている疑問や不安を解消しやすくなるというメリットもあります。学生との信頼関係を築け、内定辞退の防止にもつながるでしょう。
⑤.内定者フォロー体制の整備
内定辞退を防ぐには、内定者と定期的にコミュニケーションを取って、こまめなフォローをすることも欠かせません。学生は社会人経験がないこともあって、自分が本当にこの会社に合っているのか不安を抱く「内定者ブルー」に陥る可能性があります。
そのため、学生の不安に寄り添い、SNSやWeb会議を活用した適度なフォローを実施しましょう。その中で、参加率の低い学生は入社意欲が低下している可能性があるため、個別のフォローを行うことをおすすめします。
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⑥.親・家族への情報提供
近年は、家族からの反対を理由に内定辞退に至る学生も増えているため、家族へのフォローも意識することが重要です。家族向けの説明会や会社見学を実施するのもおすすめです。
親・家族への情報提供を通じて安心感を醸成させることで、内定辞退を防止できます。また、介護などの過程の事情を抱える学生には、フルリモートやフレックスなどの柔軟な働き方を提案してあげると引き留められる可能性があります。
内定辞退を減らして新卒採用を成功させるなら「社長メシ」がおすすめ!

内定辞退を減らして新卒採用を成功させたい企業には、経営者と学生が直接交流できる「社長メシ」がおすすめです。内定辞退を防ぐためには、学生が企業や経営者の人柄を深く理解し、この会社で働きたいと納得できる状態を作ることが重要です。
社長メシでは、経営者と学生が食事しながら本音で語り合うことで、企業理解を深め、価値観のミスマッチを防ぎます。距離感を縮めながら、学生が抱きがちな働くことへの不安を解消できるため、内定者フォローの施策としても非常に効果的です。内定辞退対策の1つとして、社長メシの導入をぜひ検討してみてください。

新卒の内定辞退に関するよくある質問
新卒の内定辞退については、理由や対策だけでない疑問も多く存在します。ここでは、新卒の内定辞退に関するよくある質問をまとめました。
内定辞退が最も多い時期はいつですか?
内定辞退が多いとされている時期は、7~9月です。この時期は内定式の直前にあたることが多く、学生が最終的な入社先を決断するタイミングであるため、内定辞退が集中しやすくなるのです。
そのほかにも、公務員試験の結果が出る11月や、入社直前の1~2月も内定辞退が増える時期といわれています。時期ごとの傾向と背景を把握したうえで、適切な対策をすることが内定辞退の防止につながります。
内定辞退が生じたらどうすれば良いですか?
内定辞退が生じた際は、企業としてマナーを守った丁寧な対応を心がけましょう。対応次第で企業の印象が左右されるため、ネガティブな印象を与えてしまうと企業の評判が悪くなってしまうかもしれません。内定辞退の連絡にはできるだけ早く返信し、学生が後ろめたさを感じないよう配慮した言葉を添えることが大切です。
また、可能であれば内定辞退の理由をヒアリングしておくことで、今後の採用活動の改善につなげられます。ヒアリングをする際は「採用活動改善に役立てるため」といった目的を明確に伝えることで、学生も安心して話しやすくなるでしょう。
内定辞退は法律観点で問題ないのですか?
内定辞退は法律的に問題のない行為です。内定承諾は正式な雇用状態ではないため、学生は就職活動を継続でき、職業選択の自由の観点から辞退もできます。
さらに民法でも、「雇用期間を定めない雇用契約はいつでも解約の申し入れができる」とされていて、企業側が内定辞退を拒否するのは難しいでしょう。しつこい引き止めはトラブルの原因になるかもしれないため避けたほうが安全です。
まとめ
内定辞退を防ぐには、選考段階でのミスマッチを防ぎ、不安を抱える学生を丁寧にフォローすることが重要です。なかでも会社の雰囲気を重視する学生は多く、入社前に企業や経営者の人柄を知れることは大きな安心材料になるでしょう。
そこでおすすめしたいのが経営者と学生が直接交流できる「社長メシ」です。社長メシを活用すれば、距離感を縮めながら、学生が抱きがちな働くことへの不安を解消できます。内定承諾率を高めたい企業様は、ぜひ社長メシを内定者フォローにご活用ください。



