「期待して採用したが、現場配置後は思うように活躍できていない」「ようやく仕事に慣れてきたのに、社風が合わず辞めてしまう」
採用と育成に投じたコストが活きず、人材が定着しないのは中小企業にとって大きな痛手です。そこで、今注目されているのが離職率を下げる「マッチング採用」です。
本記事では、自社で長く働いてくれる人材を採用するためのポイントを、成功事例やおすすめのサービスを交えて解説します。
マッチング採用とは
マッチング採用とは、候補者のスペックだけで評価するのではなく、自社との相性を重視する考え方を指します。自社の志向や価値観に合う人材を採用できるため、早期離職のリスクを軽減できるのがメリットです。
具体的には、以下の3つの要素を評価します。
| スキル | 業務遂行に必要な知識や能力があるか |
| 志向 | 候補者のキャリア志向を実現できる環境を提供できるか |
| 価値観 | 候補者の価値観がMVV(企業のビジョンやミッション)に合致するか |
また、候補者へのアプローチ方法としては以下が挙げられます。
| カジュアル面談 | 選考前に会社や仕事の雰囲気を伝え、価値観や考え方を確かめる |
| スカウト型求人 ダイレクトリクルーティング | 企業が主体的に候補者にアプローチし、価値観や志向に合う人を選ぶ |
| リファラル | 社内文化を理解している社員から推薦してもらうことで、相性の良い人材につながる |
近年では、働く側も、企業のビジョンや社風への共感を重視する人が増えています。マッチング採用は企業と応募者の双方にメリットのある採用戦略といえます。
従来の採用手法との違い
マッチング採用と従来の採用手法の決定的な違いは、評価の軸が「条件」か「価値観」かという点です。
具体的に見ていきましょう。
| 項目 | 従来の採用手法 | マッチング採用 |
| 選考の軸 | 年収600万円、営業経験3年以上 | MVVへの共感 |
| 企業のスタンス | 求人媒体に掲載して応募を待つ | SNSやイベントで主体的に接触する |
| 入社後のリスク | 条件の良い他社が現れると離職 | 長期活躍が期待できる |
客観的な「条件」が主な指標となる従来の採用手法では、企業側は求人媒体に掲載して応募を待つ受動的なアプローチで十分でした。一方、マッチング採用はビジョンとの共感を軸にするため、企業が主体的に候補者にアプローチする必要があります。
なぜ今、マッチング採用が注目されているのか
採用活動が早期化する中、在学中に複数の内定を獲得するのが一般的になっています。就職内定辞退率も高止まりしており、リクルート 就職みらい研究所のデータによると、2025年3月時点で63.8%を記録しました。

出典:リクルート就職みらい研究所 就職プロセス調査(2026年卒)「2025年12月1日時点 内定状況」
現在は内定を出しても承諾に繋がらない売手市場となっています。そのため、企業は「待ち」の採用から「攻め」の採用へシフトしつつあります。自社が求める人材を確実に確保するために、マッチング採用に注力する企業が増えているのです。

マッチング採用のメリット
マッチング採用の主なメリットは、以下の4つです。
- 採用ミスマッチを抑制できる
- 早期離職の防止につながる
- 採用コストが抑えられる
- 候補者体験が向上する
それぞれ詳しく解説します。
採用ミスマッチを抑制できる
「社風になじめなかった」「想像していた業務と違った」といった早期離職の原因は、入社前のコミュニケーション不足が大きな要因となります。マッチング採用では、カジュアル面談や職場交流を通じて候補者の不安や疑問を丁寧に解消できるため、入社後のギャップを減らす効果が期待できます。
また、企業側にとっても、面接だけでは見えにくい候補者の人柄や価値観を深く理解できるメリットがあります。履歴書上のスペックでは判断できない「自社で活躍できるかどうか」を見極められるため、採用の精度が向上します。
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早期離職の防止につながる
給与や福利厚生などの条件だけで会社を選んだ人材は、より良い条件の企業が現れればすぐに転職しまう可能性があります。一方、マッチング採用では価値観の共有を重視するため、他社と条件を比較されにくく、早期離職を防ぐのに効果的です。
退職理由には「やりがいを感じない」「企業の将来性に疑問を感じた」など、条件面以外の要素も多い中で、「なぜこの会社で働くのか」という動機が明確な人材は、困難な状況でも離職しにくい傾向にあります。
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採用コストが抑えられる
マッチング採用を自社で運用すれば、求人媒体の費用を削減できる可能性が高くなります。マッチングサービスを利用する場合も、多くのサービスが成果報酬型を採用しているため、相場が年収の3割程度といわれる人材紹介会社よりも、コスト効率よく採用できます。
また、離職率が低いため、1人あたり約100万円かかるといわれる早期離職の損失リスクを軽減できるのもメリットです。
候補者体験が向上する
企業と候補者が対等な立場で対話することで、候補者に「大切にされている」という印象が生まれます。こうしたポジティブな体験は、内定承諾率を高めるだけでなく、入社後のエンゲージメント向上にも寄与します。
仮に不採用という結果になったとしても企業のファンになりやすく、自社の採用ブランディングにも繋がります。
マッチング採用が向いている企業・向いていない企業
マッチング採用はメリットが多い採用方法ですが、すべての企業に向いているわけではありません。採用目的によっては、別の採用手法の方が効率的な場合もあります。
向いている企業
マッチング採用が向いているのは、自社のビジョンで優秀層や転職潜在層を惹きつけたい中小企業やベンチャー企業です。
マッチング採用が向いている企業の特徴
- 知名度や待遇面では大手に勝てないが、理念や社風に自信がある
- 将来の幹部候補となる優秀層を採用したい
- 採用コストを抑えながら、定着率の高い採用を実現したい
大手企業に待遇面で優位に立つのは簡単ではありませんが、理念であれば対等に戦えます。特に若い世代はパーパスを重視する傾向が強く、給与よりも社長の想いに共感する人材が多くいます。
向いていない企業
一方、以下のような企業にはマッチング採用は向いていない傾向があります。
マッチング採用が向いていない企業の特徴
- 短期間で大量採用が必要(候補者との対話に時間をかけるため対応が難しい)
- 業務がマニュアル化されており、価値観よりもスキル重視で採用したい
- 採用後の育成やフォローに十分な時間を割けない
マッチング採用で入社した人材は、やりがいや成長実感を求める傾向があります。育成体制が整っていない場合、期待とのギャップから離職につながる可能性があるため注意が必要です。
おすすめのマッチング採用サービス「6選」

ここでは、マッチングを重視するダイレクトリクルーティングサービスを紹介します 。どの軸に重点をおいて採用したいかによって、3つのカテゴリーに分類しました。それぞれの特徴と代表的なサービスについて解説します。自社にとって高い投資対効果(ROI)が期待できるサービスを探してみてください。
価値観・共感重視の採用マッチングサービス
企業文化への適合性を重視し、入社後のミスマッチを回避したい場合は、社長の想いを直接届けられる社長メシや、企業ブランディングに強いWantedlyがおすすめです。
それぞれのサービスについて、以下に詳しく紹介します。
社長メシ

社長メシは、中小・ベンチャー企業が新卒の優秀層にリーチできるマッチングサービスです。経営陣と学生が食事を囲みながら率直に意見を交わせるスタイルが特徴で、登録学生は10万人以上。うち54%以上がGMARCH以上と、高い成長意欲を持つ層が集まっています。
社長メシが選ばれる理由
- 逆求人型で工数を削減:学生から社長に直接オファーが届くため、スカウトメールを送る手間がかからない
- 食事の場だから本音が見える:カジュアルな雰囲気の中で、面接では見えにくい候補者の人柄や価値観を確認できる
- 社長の想いをダイレクトに届けられる:経営者自らが会社のビジョンを語ることで、知名度に頼らず学生の心を掴める
- 定額制でコストを抑えられる:成果報酬型と異なり、何人採用しても費用が変わらない
他社と条件を競うことなく、MVVに共感する優秀層と出会えるのが社長メシの強みです。「待遇では大手に勝てない」と感じている企業こそ、社長の魅力で勝負できるこのサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

Wantedly

Wantedlyは「共感」を軸にした採用プラットフォームの先駆けといえる存在です。給与や福利厚生などの条件を記載せず、企業の思いやストーリーを発信することで、自社に共感する人材とつながりを持てます。
月額定額制で利用でき、コストが変動しない一方で、ターゲット層が広いため、定期的なコンテンツ更新を通じて自社のファンを着実に増やしていく努力が必要です。
専門職・即戦力向けの採用マッチングサービス
専門的なスキルを持つ即戦力人材をピンポイントで獲得したい場合は、広範な母集団にアプローチするよりも、特定の職種に特化したマッチングサービスを利用するのが効率的です。
レバテックダイレクト

レバテックダイレクトはITエンジニアやクリエイターの採用に特化したサービスです。19年間の支援データを学習したAIが候補者と企業の相性を数値化できるのが強みで、スカウトの93%が面接確約に至っています。
マッチング精度が高いため、企業は書類選考を省略して直接面接に進むことができ、多忙な即戦力層を効率的に採用できます。
SOKUDAN

SOKUDANは、フリーランスや副業人材を企業が直接採用できるマッチングサービスで、実務経験5年以上のエンジニアが多数登録しています。AIと専任スタッフのサポートにより、採用にかかる工数を大幅に削減できるため、最短で翌週からの稼働を目指せます。
初期費用は無料で、業務委託から正社員への登用も可能なため、雇用のミスマッチを防ぎながらフレキシブルな採用ができるのが特徴です。
総合型採用マッチングサービス
経営層やハイクラス人材を直接スカウトしたい企業は「ビズリーチ」、客観的な診断データを用いて評価のズレをなくしたい場合は「ミイダス」も有力な選択肢となります 。
ビズリーチ

ビズリーチは、即戦力となるハイクラス人材の中途採用に特化したプラットフォームです。企業が候補者を検索して直接アプローチするスカウトがメインですが、求人情報を掲載して候補者からの応募を待つことも可能です。
スカウトと並行して求人掲載で広く興味喚起するなど、手法を組み合わせることで、転職顕在層を含めて自社にマッチする人材にリーチできるのが特徴です。
ミイダス

データに基づいた論理的なマッチングを行い、精度の高い採用を実現したい企業には、ミイダスがおすすめです。自社で活躍している社員の特性をデータ化し、それを基準に似た素質を持つ人材を探すため、精度の高いマッチングが可能です。
システムが24時間体制で条件に合う人材を探し、自動でスカウトを送るうえに、すべてのスカウトが面接確約のため、面談までの流れもスムーズです。
マッチング採用を成功させるためのポイント

マッチング採用は自社と候補者の相性を見極める優れた手法ですが、運用の質で効果が大きく変わります。ここでは、新卒採用を成功させるために取り入れたいポイントを4つ紹介します。
自社が求める人材を明確にする
採用を行う際は、求める人物像をできるだけ細かく設定しましょう。ターゲット層を決めただけでは候補者を絞り込めず、特に複数人で選考を行う際は評価が揺れてしまうからです。
具体的には、配属先の現場へヒアリングしてターゲットを絞り込み、そこから「実在する一人の人間」をイメージできるレベルまで詳細な属性を設定していきます。
採用ペルソナの設定項目
年齢/性別/出身地/家族構成/学歴・職歴/趣味/性格/希望の働き方/将来への不安やビジョンなど
ペルソナの解像度を高めておけば、求職者に響くメッセージを発信できるようになり、採用の無駄を減らせます。
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採用ペルソナとは?具体的な設定手順や定めるメリットを解説
スキルだけでなく価値観や志向も確認する
新卒採用において、現在のスキル以上に重要なのが「価値観」と「志向」の合致です。スキルは入社後に教えられますが、本人の根本的な考え方や性格を会社に合わせて変えるのはほぼ不可能だからです。
面接では「何ができるか」だけでなく「将来どうなりたいか」「なぜそう思うのか」を深掘りして聞いて自社との相性を確認しましょう。価値観がマッチしていれば、すぐに離職することはそうないはずです。
選考プロセスで見極める仕組みを作る
会議室での形式的な面接だけでは、学生の本質を見抜くことは難しいです。ワークサンプルテストや社員とのフリートーク、食事の場など、リラックスした環境での言動を確認できる機会を設けておきましょう。
選考プロセスが増えるのを手間に感じるかもしれませんが、複数の角度から見極めることは、採用後のミスマッチを防ぎ、採用コストの削減にも繋がります。
企業側のありのままを開示する
見栄を張って給与水準や職場環境を実態より良く見せても、入社後に「話が違う」となれば、早期離職を招くかもしれません。マッチング採用では、自社の良い面だけでなく、現状や課題について正直に伝えることが基本です。納得した上で入社を決めてくれた人材は、現場に出てからもギャップを感じにくく、納得感を持って働いてくれます。

【知っておきたい】マッチング採用に取り組む際の注意点
ここでは、マッチング採用でありがちなミスを3つ紹介します。
ツールや検査の結果に依存しすぎない
採用に熱が入るあまりに、選考ステップや候補者への課題を増やしすぎるのもおすすめできません。自社の負担になるだけでなく、候補者がしびれを切らして他社に流れてしまうケースも考えられます。
売り手市場の今、選考のスピードは早いに越したことはありません。優秀な層ほど内定が集まる現状をふまえ、自社との相性を迅速に判断できるシステムを構築しておきましょう。
主観的なバイアスを極力排除する
「なんとなく気が合いそう」と面接官の主観だけで採用を決めることは避けましょう。主観的なバイアスが入ると、採用基準がブレて、後々のミスマッチに繋がります。
採用軸のブレを防ぐには、採用ペルソナなどの客観的な評価基準を設けたり、複数人による評価を行ったりするのが効果的です。
選考プロセスを複雑化しすぎない
採用に熱が入るあまりに、選考ステップや候補者への課題を増やしすぎるのもおすすめできません。自社の負担になるだけでなく、候補者がしびれを切らして他社に流れてしまうケースも考えられます。
売り手市場の今、選考のスピードは早いに越したことはありません。優秀な層ほど内定が集まる現状をふまえ、自社との相性を迅速に判断できるシステムを構築しておきましょう。
マッチング採用を成功させた企業事例
マッチング採用で新卒を採用できた事例を紹介します。知名度が高くない企業であっても、適切なマッチングにより優秀層を採用することは可能です。ぜひ参考にしてください。
後藤ブランド株式会社

後藤ブランド株式会社は、経営コンサルティングやWebマーケティングを手がける少数精鋭の企業です。当初は即戦力採用のみを検討していましたが、社長メシを通じて出会った学生のポテンシャルに、新卒採用を決断しました。
成功の要因は、採用を「企業が選ぶ場」ではなく「学生に選んでもらう場」と定義し、学生を対等に扱ったこと。採用を意識せず、学生の就活の悩みや社会への不安を聞いてアドバイスをするうちに、信頼関係が形成され、優秀な人材の採用に至ったのです。
候補者と真摯に向き合うことで、自社の未来を担う人材との縁を引き寄せた事例です。
株式会社クリテック工業

株式会社クリテック工業は、従業員30名以下の建設メーカーです。新卒採用に苦戦していましたが、社長メシで意欲の高い学生と出会い、理念に共感する新卒女性の採用に成功しました。
転機となったのは、面接形式をやめ、学生からの質問に答えるスタイルをとったことです。学生と同じ目線で対話した結果、社長の考え方を通じて会社に興味を持ってもらえるようになったと語られています。
会社を最も知る社長自らが現場のリアルと熱量を伝えることで、知名度に頼らない採用に至りました。
マッチング採用に関するよくある質問
自社にマッチング採用を初めて取り入れる方が、よく疑問に思われる点について解説します。
マッチング採用は中小企業・スタートアップでも導入できますか?
もちろん導入できます。 大手のような知名度や好待遇で勝負しなくても、経営者自身の魅力やビジョンで直接惹きつけられるのがマッチング採用の強みです。社長自らが動く機動力こそが、大手には真似できない強みとなります。
マッチング採用は採用スピードが遅くなりませんか?
むしろ早まるケースもあります。 従来のナビサイト経由では「大量の応募→書類選考→複数回の面接」と段階を踏む一方、マッチング採用は価値観や志向性が合う状態でコンタクトが始まるため、選考の密度が高いのが特徴です。もしマッチング採用に時間がかかるようであれば、選考フローが過度に複雑になっていないか、企業ペルソナは明確になっているかなどを見直してみてください。
マッチング採用では未経験者の採用も可能ですか?
もちろん可能です。むしろ、スキルや実績で判断できない新卒者こそ、自社との相性やポテンシャルを見極めるためにマッチング採用を活用することをおすすめします。例えば「社長メシ」のようにカジュアルな場で候補者との交流を深めることで、お互いに齟齬(そご)のない採用につながります。
まとめ
新卒採用が激化する現在の市場では、従来通りの「待ち」の採用で人材を確保するのは困難です。大手企業が採用活動を早期化するなか、中小企業やベンチャー企業が自社の未来を担う優秀層を獲得するためには、条件ではなく、理念でつながるマッチング採用がおすすめです。
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