共感採用とはどんな採用手法?
共感採用は、企業のビジョンや経営理念、思い、社風のような「無形価値」に共感してくれる人材を採用していく手法のことです。
従来の採用では、給与や勤務時間、取り扱っている商品やサービス、業務内容のように「有形価値」を求人情報として提示し応募が来るのを待つ手法が一般的でした。
近年、人材不足が深刻化している中、リファラル採用を取り入れる企業も増えてきており、その一環として共感採用が注目されるようになってきています。
共感採用を取り入れる企業が増えている理由
共感採用を取り入れる企業が増えている背景には、次のような理由が挙げられます。
大手重視の考え方からの変化
終身雇用の崩壊といわれるようになった昨今では、「大手企業だから」という理由で会社を選ぶ人が減少傾向にあります。
多くのサービスや商品が世に送り出される今、時代に合わせて柔軟な対応が求められているため、大手の競争力も低下しがちです。
求職者は「大手企業だから安心」という考えでなく、自身のスキルアップにつながる会社なのか、その会社は社会に対してどんな価値を提供しているのかなどを重視して会社選びをするようになっています。
やりがい重視の求職者が増加
従来の会社選びでは、毎月の収入に直結する給与や福利厚生といった「安定」を強く求める傾向にありました。しかし、近年では「やりがい」を求めて会社を選ぶ求職者が増えてきています。
また、近年は日本で起業するハードルも低くなっており、ベンチャー企業が増加傾向です。ベンチャー企業のほとんどがフラット型の組織体制で、若手にとって魅力的なビジョンを掲げています。
このような背景から、企業の魅力や社会貢献の姿勢などが重要視されていると推測できるでしょう。
情報収集の方法が多様化
これまでは、求人票に記載してある項目のように、企業が提示する限られた情報しか得られませんでした。しかし、近年では、企業が発信しているSNSやメディアからさまざまな情報を入手できるようになっています。
また、企業によっては、カジュアル面談やミートアップなどを積極的に行っており、入社前に知ることができなかった雰囲気や社風なども、よりわかりやすくなってきているのです。
会社の発信だけにとどまらず、そこで働いている従業員が各々にSNSで仕事のやりがいや雰囲気を発信することで、無形価値の部分に大きな注目が集まっています。
共感採用のメリット・デメリット
注目されている共感採用ですが、すべての会社が安易な考えで取り入れれば良いというものではありません。ここからは、メリットとデメリットをそれぞれの項目に分けて紹介します。メリットとデメリットの双方を理解したうえで検討しましょう。
メリット
共感採用を取り入れることで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。それぞれの項目ごとに、自社の目的とマッチしているかを確認しておきましょう。
会社の本来の魅力が伝えられる
従来のような給与や福利厚生、業務内容など条件面の提示では、会社の外側しか伝えられていません。
会社の内面を見せていないことによって、採用後にミスマッチが生じてしまい、意欲の低下や離職につながりやすく、採用が上手くいかない状態に陥ることが多いです。
共感採用では、会社のビジョンや部署ごとの雰囲気、習慣、教育体制などを公開するため応募者の不安を払拭でき、それと同時に会社の魅力をわかりやすく伝えられます。
楽しい面だけでなく大変だけれどやりがいのある部分も伝えることで、より業務や会社の全体像を伝えやすくなり、より具体的に関心を持ってもらえるでしょう。
ミスマッチ防止になる
共感採用では、入社前から会社内のリアルな情報提供をしているため、ミスマッチが起こりにくくなります。
条件のみの提示では、どうしても想像と現実にギャップが生じてしまい、入社後の早期退職に結びついてしまう人も少なくありません。
お互いに時間をかけて採用活動をするため、早期退職となってしまっては無駄になってしまいます。
時間や費用のコストを無駄にしないためにも、ミスマッチ防止になる共感採用は有効な手法であるといえるでしょう。
意欲が高い人材を見つけられる
給与や福利厚生などの条件面のみを提示して採用を行う場合、仕事への向き合い方や考え方、人との関わり方を見抜くことは困難です。
また、元々意欲が高い人であっても、採用後にミスマッチが起きて意欲が低下してしまうことも考えられます。
共感採用では、ビジョンや経営理念、思い、社風、やりがいなど「無形価値」をたくさんアピールすることが可能です。
実際に働いている従業員のリアルな声や、人柄、チームでのあり方などを詳細に伝えることで、入社後に自分に求められていることや自分のあるべき姿をリアルにイメージしてもらいやすくなります。
詳しく内部の情報を出すことで、「この会社で挑戦したい」という意欲の高い人材を集められます。さらに入社後のギャップも生じにくくなるため、意欲の低下が起こりにくくなるでしょう。
デメリット
共感採用を取り入れるデメリットも3つあります。メリットだけにとどまらず、デメリットもしっかりと把握してから自社の採用に取り入れるか検討しましょう。
採用に時間がかかる
共感採用の場合は、自社の魅力や理念を言語化してアピールすることからはじまります。条件での採用とは異なり、自社の魅力に気付いて応募してもらうためには、多くの情報を根気強く発信しなければなりません。
一方、条件での採用では、応募者側で通いやすさや年間休日など、都合の良さで判断するため共感採用よりも応募者が集まりやすいのは事実です。
共感採用の場合は、さまざまな角度から社内の情報を見るために、応募者側が合わないと感じた場合は、応募に至りません。条件での採用よりも応募者の数が少なくなるため、突然の離職者がいて早急に人材を確保しなければならない場合には向かない手法といえます。
条件重視の層を逃してしまう
応募者は、条件のみを重視している層もまだまだ多いです。そのため、条件で会社を探している人は、応募しない可能性があります。そもそもの応募数が減る可能性が高いため、優秀な人材でも取り逃してしまうおそれがあるのです。
採用に期限を設けている会社の場合では、少ない応募者の中から人材を採用しなければならないため、不利になることもあるでしょう。
魅力的な条件を提示できる会社の場合は、そもそも共感採用は向いていない可能性があります。条件で応募者を集め、面接時に会社のビジョンや社風などを説明する従来と同じような採用手法が向いている会社もあるのです。
多様性が損なわれる
共感採用では、会社のビジョンや社風、考え方に共感してくれる応募者ばかりを集めるので、どうしても社内の多様性は損なわれます。
似たような思考や性格の人が集まりやすいので、社内の雰囲気もあまり変わらない点は注意したほうが良いでしょう。
一般的な採用では、採用後のミスマッチが懸念されるものの、さまざまな考え方を持つ人材が集まるので、プロジェクトのアイデアや発想も多種多様な意見が聞ける環境が構築できます。
共感採用を成功させるコツ
メリットとデメリットを踏まえたうえで共感採用を取り入れてみるときは、これから解説する成功させるためのポイントを押さえておきましょう。
社員にヒアリングする
共感採用を始める際には、まず社員にヒアリングを実施しましょう。共感採用では、会社のビジョンや社風はもちろんですが、やりがいの部分も重要な要素です。
現場で実際に実務を行う社員が感じていることと上層部が感じていることが異なると、ギャップが生じてしまいます。
その結果、採用後のミスマッチを招くおそれもあるため、共感採用として公開する情報にずれがないかを入念にチェックしておく必要があるのです。
ストーリー性を持たせた伝え方をする
企業の魅力を最大限に伝えるためには、言葉選びや見せ方に工夫が必要です。たとえば「社員同士が協力し合える環境です」と端的に伝えてしまうと、根拠が見いだせず応募者には刺さりません。
企業の歴史や設立に至った経緯、環境が変化していく過程など、時系列を追ってストーリー性を持たせた伝え方をすると、信憑性も増し、わかりやすく魅力を伝えられます。
入社後もパフォーマンスを維持する
採用するまでに魅力を伝える努力をしても、入社後に魅力がなくなってしまうような会社では、結局ミスマッチが起こり早期退職につながります。
自社を魅力的に見せようと、採用時にアピールポイントを誇張しすぎるのはよくありません。ありのままの魅力を伝え、入社してからもその魅力が低下しないような環境づくりを行うことで、長期的に会社に貢献してくれる人材に成長します。
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さまざまな求職者と実際にコミュニケーションを深める中で、自社のビジョンや考え方に共感してくれる人材を効率的に見つけられます。
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まとめ
共感採用は、条件ではなく会社の内面から好きになってもらい応募してもらう新しい採用手法です。メリットもデメリットもありますが、上手く活用すれば意欲の高い人材の確保に成功するでしょう。
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