【人事担当必見】注目の共感採用について徹底解説!メリットや成功のコツを紹介

選考手法(選考する)

企業の「理念やバリューに共感して働きたい」という求職者の意識が高まる今、従来のスキル・条件重視型の採用手法だけでは人材確保に限界が見えています。そんな中で脚光を浴びているのが 共感採用です。「何をするか」よりも「誰と、どんな想いで働くか」を問うこの手法は、ミスマッチの減少や意欲の高い人材で出会えるといった成果にもつながっています。

当記事では、共感採用を導入する企業が増えている理由や、メリット・デメリット、成功のコツなどを徹底的に解説します。意欲的な人材を採用したい企業は、ぜひ参考にしてください。

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共感採用とはどんな採用手法?

共感採用は、企業のビジョンや経営理念、思い、社風のような「無形価値」に共感してくれる人材を採用していく手法のことです。

従来の採用では、給与や勤務時間、取り扱っている商品やサービス、業務内容のように「有形価値」を求人情報として提示し応募が来るのを待つ手法が一般的でした。

近年、人材不足が深刻化している中、リファラル採用を取り入れる企業も増えてきており、その一環として共感採用が注目されるようになってきています。

基本的な採用手法との違い

条件型採用とも呼ばれる従来の採用方法では、求職者をスキルや経験、適性を中心に評価するのが基本でした。しかし、能力評価だけで採用した候補者には、就職後に企業文化や価値観のミスマッチが発生し、早期離職やエンゲージメント低下の原因となる事例がしばしば見られます。

一方、共感採用では自社の理念や価値観と、求職者自身の価値観が一致しているか確認することが、選考過程において重視されています。また、社員とのカジュアル面談などのように、求職者にも企業を知ってもらう機会を提供することが従来の採用方法との違いです。

共感採用を取り入れる企業が増えている理由

共感採用を取り入れる企業が増えている背景には、次のような理由が挙げられます。

大手重視の考え方からの変化

終身雇用の崩壊といわれるようになった昨今では、「大手企業だから」という理由で会社を選ぶ人が減少傾向にあります。

多くのサービスや商品が世に送り出される今、時代に合わせて柔軟な対応が求められているため、大手の競争力も低下しがちです。

求職者は「大手企業だから安心」という考えでなく、自身のスキルアップにつながる会社なのか、その会社は社会に対してどんな価値を提供しているのかなどを重視して会社選びをするようになっています。

やりがい重視の求職者が増加

従来の会社選びでは、毎月の収入に直結する給与や福利厚生といった「安定」を強く求める傾向にありました。しかし、近年では「やりがい」を求めて会社を選ぶ求職者が増えてきています。

また、近年は日本で起業するハードルも低くなっており、ベンチャー企業が増加傾向です。ベンチャー企業のほとんどがフラット型の組織体制で、若手にとって魅力的なビジョンを掲げています。

このような背景から、企業の魅力や社会貢献の姿勢などが重要視されていると推測できるでしょう。

情報収集の方法が多様化

これまでは、求人票に記載してある項目のように、企業が提示する限られた情報しか得られませんでした。しかし、近年では、企業が発信しているSNSやメディアからさまざまな情報を入手できるようになっています。

また、企業によっては、カジュアル面談やミートアップなどを積極的に行っており、入社前に知ることができなかった雰囲気や社風なども、よりわかりやすくなってきているのです。

会社の発信だけにとどまらず、そこで働いている従業員が各々にSNSで仕事のやりがいや雰囲気を発信することで、無形価値の部分に大きな注目が集まっています。

ビジョン・ミッションへの共感を重視する学生が増えている

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000076773.html

2024年の調査によると、学生が企業を選ぶ際に最も重視している項目は「会社のビジョンやミッションへの共感」で、22.6%という結果が出ています。これは「福利厚生」「年収」「会社の知名度」などの伝統的な指標を大きく上回る数値で、企業の価値観や目的に共感できるかどうかが、就職先選びにおいて非常に重要な要素となっていることを示しています。

こうした背景から、企業側としても「自社のパーパス(存在意義)」「理念」「社風」を明確に打ち出し、共感を呼び起こす採用活動がますます求められているのです。

共感採用のメリット

注目されている共感採用ですが、すべての会社が安易な考えで取り入れれば良いというものではありません。ここからは、メリットとデメリットをそれぞれの項目に分けて紹介します。メリットとデメリットの双方を理解したうえで検討しましょう。

共感採用を取り入れることで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。それぞれの項目ごとに、自社の目的とマッチしているかを確認しておきましょう。

会社の本来の魅力が伝えられる

従来のような給与や福利厚生、業務内容など条件面の提示では、会社の外側しか伝えられていません。

会社の内面を見せていないことによって、採用後にミスマッチが生じてしまい、意欲の低下や離職につながりやすく、採用が上手くいかない状態に陥ることが多いです。

共感採用では、会社のビジョンや部署ごとの雰囲気、習慣、教育体制などを公開するため応募者の不安を払拭でき、それと同時に会社の魅力をわかりやすく伝えられます。

楽しい面だけでなく大変だけれどやりがいのある部分も伝えることで、より業務や会社の全体像を伝えやすくなり、より具体的に関心を持ってもらえるでしょう。

ミスマッチ防止になる

共感採用では、入社前から会社内のリアルな情報提供をしているため、ミスマッチが起こりにくくなります。

条件のみの提示では、どうしても想像と現実にギャップが生じてしまい、入社後の早期退職に結びついてしまう人も少なくありません。

お互いに時間をかけて採用活動をするため、早期退職となってしまっては無駄になってしまいます。

時間や費用のコストを無駄にしないためにも、ミスマッチ防止になる共感採用は有効な手法であるといえるでしょう。

意欲が高い人材を見つけられる

給与や福利厚生などの条件面のみを提示して採用を行う場合、仕事への向き合い方や考え方、人との関わり方を見抜くことは困難です。

また、元々意欲が高い人であっても、採用後にミスマッチが起きて意欲が低下してしまうことも考えられます。

共感採用では、ビジョンや経営理念、思い、社風、やりがいなど「無形価値」をたくさんアピールすることが可能です。

実際に働いている従業員のリアルな声や、人柄、チームでのあり方などを詳細に伝えることで、入社後に自分に求められていることや自分のあるべき姿をリアルにイメージしてもらいやすくなります。

詳しく内部の情報を出すことで、「この会社で挑戦したい」という意欲の高い人材を集められます。さらに入社後のギャップも生じにくくなるため、意欲の低下が起こりにくくなるでしょう。

共感採用を取り入れる際の注意点・デメリット

共感採用を取り入れるデメリットも3つあります。メリットだけにとどまらず、デメリットもしっかりと把握してから自社の採用に取り入れるか検討しましょう。

採用に時間がかかる

共感採用の場合は、自社の魅力や理念を言語化してアピールすることからはじまります。条件での採用とは異なり、自社の魅力に気付いて応募してもらうためには、多くの情報を根気強く発信しなければなりません。

一方、条件での採用では、応募者側で通いやすさや年間休日など、都合の良さで判断するため共感採用よりも応募者が集まりやすいのは事実です。

共感採用の場合は、さまざまな角度から社内の情報を見るために、応募者側が合わないと感じた場合は、応募に至りません。条件での採用よりも応募者の数が少なくなるため、突然の離職者がいて早急に人材を確保しなければならない場合には向かない手法といえます。

条件重視の層を逃してしまう

応募者は、条件のみを重視している層もまだまだ多いです。そのため、条件で会社を探している人は、応募しない可能性があります。そもそもの応募数が減る可能性が高いため、優秀な人材でも取り逃してしまうおそれがあるのです。

採用に期限を設けている会社の場合では、少ない応募者の中から人材を採用しなければならないため、不利になることもあるでしょう。

魅力的な条件を提示できる会社の場合は、そもそも共感採用は向いていない可能性があります。条件で応募者を集め、面接時に会社のビジョンや社風などを説明する従来と同じような採用手法が向いている会社もあるのです。

多様性が損なわれる

共感採用では、会社のビジョンや社風、考え方に共感してくれる応募者ばかりを集めるので、どうしても社内の多様性は損なわれます。

似たような思考や性格の人が集まりやすいので、社内の雰囲気もあまり変わらない点は注意したほうが良いでしょう。

一般的な採用では、採用後のミスマッチが懸念されるものの、さまざまな考え方を持つ人材が集まるので、プロジェクトのアイデアや発想も多種多様な意見が聞ける環境が構築できます。

共感採用を成功させるコツ「7選」

メリットとデメリットを踏まえたうえで共感採用を取り入れてみるときは、これから解説する成功させるためのポイントを押さえておきましょう。

パーパスと採用ペルソナの明確化

パーパスとは企業の存在意義や目的のことで、企業によってはミッションやビジョン、企業理念と呼ばれることもあります。これらをすでに策定済みである企業は、まず自社のパーパスを再確認したうえで、採用したい人物像(採用ペルソナ)を絞り込んでいきましょう。

具体的には「自社のパーパスに共感するのはどのような人物か」を定義することで、採用ペルソナを明確化できます。

社員にヒアリングする

共感採用を始める際には、まず社員にヒアリングを実施しましょう。共感採用では、会社のビジョンや社風はもちろんですが、やりがいの部分も重要な要素です。

現場で実際に実務を行う社員が感じていることと上層部が感じていることが異なると、ギャップが生じてしまいます。

その結果、採用後のミスマッチを招くおそれもあるため、共感採用として公開する情報にずれがないかを入念にチェックしておく必要があるのです。

共感を生むコンテンツの発信

採用ペルソナと合致する求職者から求人に応募してもらうには、まず自社のパーパスや魅力を伝えて、自社に興味を持ってもらう必要があります。

最近は、SNSやインターネットを使って情報収集する人が多いため、トップからのメッセージ、社員インタビューなどの魅力あるコンテンツをSNSやブログで発信することが有効です。特に社員インタビューについては、さまざまな年代や役職の社員を取り上げることで幅広い層にアピールできます。

ストーリー性を持たせた伝え方をする

企業の魅力を最大限に伝えるためには、言葉選びや見せ方に工夫が必要です。たとえば「社員同士が協力し合える環境です」と端的に伝えてしまうと、根拠が見いだせず応募者には刺さりません。

企業の歴史や設立に至った経緯、環境が変化していく過程など、時系列を追ってストーリー性を持たせた伝え方をすると、信憑性も増し、わかりやすく魅力を伝えられます。

ターゲット人材への直接スカウト

より積極的な採用方法として、採用ペルソナに合致する候補者には、直接スカウトでアプローチすることも検討しましょう。特に専門性の高いスキルを持つ人材を採用したい企業や知名度の低い企業は、求職者からの応募を待つよりも直接スカウトのほうが効率的になる可能性があります。

なお、ターゲット人材に送るスカウトメールでは「スカウトした理由」や「候補者のどこに魅力を感じたのか」を詳しく書くことで返信してもらいやすくなるでしょう。

カジュアル面談での相互理解

ある程度の候補者数が集まったら、本格的な選考を始める前に企業と候補者が互いの価値観や仕事観を確認できる機会として、カジュアル面談を設けるのがおすすめです。

あくまでも選考とは関係がないという位置づけのカジュアル面談は、企業にとっても候補者にとってもお互いの本音が聞けるため、相互理解が進みます。カジュアル面談に参加した候補者は、自社への理解を深めた状態で選考に参加するため、選考がスムーズに進むだけでなく、もし採用となった場合には入社後の活躍が期待できます。

共感だけではなくスキルマッチも確認

共感採用は文字通り、企業のパーパスや理念への共感を重視する採用方法ですが、採用を決める際には必要なスキルを備えているかの確認も重要です。

自社と価値観が近く、カルチャーにマッチしていたとしても、スキルが足りていなければ結局は早期離職やモチベーションの低下につながるおそれがあります。共感採用を実施する場合でも、選考では最低限必要なスキルや経験も確認することが不可欠です。

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共感採用に関するよくある質問

自社で長く活躍できる人材を獲得する方法として共感採用が注目されていますが、従来の採用方法と異なる点が多いため、実施方法や効果に疑問や不安を感じている企業は多いでしょう。

ここでは、共感採用に関するよくある質問5つとその答えを紹介しますので、参考にしてください。

共感採用を成功させるための第一歩は何ですか?

共感採用を成功させるには、まず自社のパーパスや採用ペルソナの明確化から始めることが重要です。そもそも何に共感する人材が欲しいのか、共感してくれそうな人材の絞り込み方などをはっきりさせてから採用活動を進めましょう。

候補者に共感を生む情報発信の方法は?

共感採用においては、候補者に共感してもらい、自社の選考に参加してもらうために、こまめな情報発信が欠かせません。SNSやブログに社員インタビューやトップメッセージなどを掲載し、自社のパーパスや仕事のやりがいを伝えましょう。社員インタビューでは、できるだけ多様な経歴・年齢層の社員を取り上げて紹介することで、幅広い層にアプローチできます。

共感採用においてカジュアル面談は重要ですか?

選考前に行われるカジュアル面談には、企業と候補者が互いの価値観や仕事観を確認できるメリットがあります。選考の候補者がある程度集められたら、できるだけカジュアル面談を開催するほうがよいでしょう。候補者に自社への理解を深めてもらうことで、その後の選考がスムーズになります。

共感採用だけでなくスキル確認も必要ですか?

共感採用を実施する場合でも、最低限のスキル確認は必要です。共感やカルチャーマッチだけで採用すると、スキル不足によって業務遂行が困難になったり、モチベーションの低下による早期離職につながったりするリスクがあります。共感とスキルの両方を評価することが、入社後の活躍につながります。

入社後に共感採用の効果を維持する方法は?

自社のパーパスや理念に共感して入社した社員だからこそ、現場の実際の様子とギャップがあれば結局は離職につながる可能性があります。まずは、採用広報においてアピールポイントを誇張しすぎないことが大切です。また、定期的なフォローアップや研修を通じて、社員が企業文化やパーパスを理解し、体現できる環境を整えましょう。

まとめ

 

共感採用とは企業のパーパスや理念に共感してくれる人物を採用する手法のことです。給与や勤務時間、会社の規模といった条件を重視する求職者よりも入社後のミスマッチが起こりにくく、長く活躍してくれる可能性があるため注目されています。

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