新卒社員の早期離職は、企業の採用活動に大きな損失を生む重要な課題です。採用にかけた費用や教育投資が回収できないだけでなく、職場の人員計画にも影響が出るため、離職の実態を正しく把握しなくてはなりません。特に、早期離職が続く企業では、採用競争力の低下や現場の負担増加が起きやすく、長期的な組織力の低下にもつながります。こうした背景を踏まえると、若手がなぜ短期間で仕事から離れてしまうのかを理解することが重要です。
本記事では、学歴別・事業所規模別・産業別に公的データを基に離職の傾向を整理し、早期離職の実態について解説します。新卒社員の早期退職を防ぐ対策も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
新卒社員における早期離職の実態とは

新卒社員の早期離職は企業だけでなく社会全体に深刻な影響を及ぼします。では、なぜ若手は入社後すぐに辞めてしまうのでしょうか。その背景を学歴・事業所規模・産業別のデータから解説します。
学歴別にみる就職後3年以内の離職退職率
| 区分 | 離職率 | 前年比 |
| 中学 | 54.1% | +3.6pt |
| 高校 | 37.9% | −0.5pt |
| 短大・高専・専修 | 44.5% | −0.1pt |
| 大学 | 33.8% | −1.1pt |
引用:厚生労働省_新規学卒就職者の就職後3年以内離職率
新卒社員が入社後、短期間で辞めてしまう「早期離職」は、依然として無視できない問題です。厚生労働省の最新データによれば、3年以内の離職率は高卒で約37.9%、大卒で約33.8%と高い水準にあります。
この離職率は、企業が採用した人材を定着させるのが困難であることを示しています。特に、若手人材の定着を図る上では、その背景要因を正しく把握し、具体的な対応策を考えなくてはなりません。
事業所規模別の早期離職退職率
| 事業所規模 | 高校 | 前年比 | 大学 | 前年比 |
| 5人未満 | 63.2% | +0.7pt | 57.5% | −1.6pt |
| 5〜29人 | 54.6% | +0.2pt | 52.0% | −0.7pt |
| 30〜99人 | 45.2% | −0.1pt | 41.9% | −0.5pt |
| 100〜499人 | 36.7% | −0.4pt | 33.9% | −1.3pt |
| 500〜999人 | 29.9% | −1.6pt | 31.5% | −1.4pt |
| 1,000人以上 | 26.3% | −1.0pt | 27.0% | −1.2pt |
引用:厚生労働省_新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率
新規学卒者の離職率は、事業所の規模が小さいほど高くなる傾向にあります。厚生労働省のデータによると、従業員5人未満の事業所では大卒者の3年以内離職率が57.5%にのぼる一方、1,000人以上の大規模事業所では27.0%と大きな開きがあるのです。
この差は、中小規模の事業所では教育体制や若手のケア体制が十分整っていないケースが多い可能性を示唆しています。そのため、企業規模ごとに定着支援のアプローチを変えると、この差を縮められるかもしれません。
産業別にみる早期離職の傾向
| 業種 | 高校 | 前年比 | 大学 | 前年比 |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 64.7% | −0.4pt | 55.4% | −1.2pt |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 61.5% | +0.5pt | 54.7% | +1.0pt |
| 教育・学習支援業 | 53.6% | +0.5pt | 44.2% | −2.4pt |
| 医療・福祉 | 49.2% | −0.1pt | 40.8% | −0.7pt |
| 小売業 | 48.3% | −0.3pt | 40.4% | −1.5pt |
引用:厚生労働省_新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
産業別では、宿泊業・飲食サービス業における離職率が最も高い傾向にあります。厚生労働省の報告では、高卒新卒者の宿泊・飲食サービス業での3年以内離職率は64.7%、大卒者でも55.4%です。
また、生活関連サービス・娯楽業や教育・学習支援業、医療・福祉、小売業でも離職率が高いことが分かります。こうした傾向は、これらの産業が若手にとって厳しい労働条件やキャリアの不透明さを抱えやすいことを意味しています。そのため、業界特有の離職防止策が求められるでしょう。

新卒社員が早期離職に至る理由
リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、新卒や若手社員が入社後3年以内に離職を考える理由・実際に離職する主な理由は、さまざまです。これらは単純な構造的問題だけでなく、若手が持つ働き方や人生観の変化とも深く関係しています。
ここでは、新卒社員が早期退職に至る理由を3つの観点に分けて解説します。

引用:リクルート マネジメント ソリューションズ_「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の結果を発表
劣悪な労働環境・条件への不満
調査では、入社3年目以下の社員が退職を選んだ理由として最も多かったのは「労働環境・条件がよくない」(25.0%)という回答でした。具体的には、長時間労働、休日取得の難しさ、給与水準への不満などが含まれており、こうした職場環境が若手の定着を妨げています。
いくら給与が高水準でも、長く働き続けられる環境が整っていないと、新入社員離れは加速する一方です。そのため、基本的な労働環境の見直しは定期的に行いましょう。
人間関係・上司・先輩との関わりの弱さ
職場の人間関係、特に上司・先輩との関係が希薄であることも、早期離職に向かう重要な要因です。調査では「職場の人間関係がよくない、合わない・上司と合わない」と答えた割合が14.5%と、給与水準の次に高いと分かります。
若手は自身の成長過程において周囲のフィードバックや相談環境を重視しています。そのため、信頼関係が築けなければ孤立感を抱えやすくなるでしょう。その結果、居場所がない・自分が理解されていないと感じ、離職を考えてしまうのです。
今後のキャリアが描けないと感じる不安
若手社員の10.5%が「今後のキャリアが描けない・目指すキャリア形成につながらない」と回答しています。この不安も早期離職を検討する大きな要因の1つです。仕事の進め方や成果の定義が曖昧なまま配属されると、成長の方向性を理解しづらくなり、将来の姿をイメージできない状態が続きます。
さらに、職場にロールモデルがいない場合、学ぶ対象が見えず、キャリア形成の道筋がぼやけてしまいます。その結果、今の環境で働き続ける意義を見いだせず、より明確な成長実感を得られる職場を求めて離職してしまうのです。こうした状況を避けるには、入社初期からキャリアの段階や求められる役割を明確に示し、成長の道筋を共有する取り組みをしましょう。
新卒社員の早期離職による企業側のデメリット

新卒社員が短期間で離職すると、企業は採用投資を回収できず、人員計画にも影響が出ます。ここでは、新卒社員の早期離職による企業側のデメリットを3つ紹介します。
採用・育成コストが無駄になる
新卒採用には、募集活動から面接対応まで多くの工程があるため、大きな費用と時間を費やしています。採用後も研修や実務指導を通じて育成を行いますが、早期に離職されると、その投資が成果につながりません。
この負担は単年度だけにとどまらず、翌年以降の採用計画の調整にも影響を及ぼします。こうして、新人が育つ前に離れる状況が続くと、組織が持つノウハウの継承が進まず、長期的な戦力形成にも支障が出るのです。
業務効率の低下
早期離職が頻繁に起こると、企業は常に人材不足に直面することになります。必要な経験や知識が社内に蓄積されず、新入社員が育つ環境が整わないため、業務の継続性や効率性が低下するでしょう。
残された社員には、業務負担が集中し、教育や人材育成にかけられる時間も減少します。この結果、社員の成長が阻害され、企業の成長にも深刻な影響を与えかねません。
企業イメージの低下
早期離職によって人材の入れ替えが頻繁に起こると、企業内の担当者が変わることが多く、顧客や取引先に対しても社内の不安定さが伝わってしまい、企業の信頼性が低下するおそれがあります。また、求職者が企業のホームページや四季報、ハローワークなどで離職率の情報を目にすることで、不安を感じ、選考への応募を控える可能性も考えられるでしょう。
企業にとっては、信頼を築くことが長期的な成功に直結するため、早期離職による影響は深刻です。

新卒社員の早期離職を防ぐ対策「5選」
若手社員の早期離職を防ぐためには、入社前から入社後まで一貫した支援体制を整える姿勢が必要です。採用過程での情報共有から育成環境の整備まで、段階ごとに丁寧な取り組みを進めれば、若手が早期に定着しやすい組織づくりにつながるでしょう。
ここでは、新卒社員の早期離職を防ぐ対策を入社前と入社後に分けて解説します。
入社前
ここでは、入社前の対策を紹介します。
正確な求人情報の提供
まずは、企業が新卒採用で正確な求人情報の提示が必要があります。仕事内容や職場の特徴を具体的に伝えれば、応募者は自分の価値観と合う環境かを理解しやすくなるため、早期離職を防ぐことが期待できます。
情報が曖昧であったり、実態と異なったりしている状態で採用活動を進めると、入社後に誤解が生じ、職場への不信感が生まれる事態になりかねません。そのため、誇張した説明を避けて実態を明確に提示する姿勢を保ち、双方の納得度が高めましょう。
ミスマッチを防ぐ選考プロセス
選考段階で企業と応募者が価値観を丁寧にすり合わせる姿勢は、入社後の定着に直結します。そのため、現場の担当者が参加する面談を通じて、業務の実態や働き方を率直に伝えれば、応募者は自分が働く姿をより具体的に思い描きやすくなるでしょう。
さらに、実務に近い体験型のプログラムやインターンシップを実施すれば、応募者は職場の雰囲気を肌で感じながら、本音で話せる関係性を築けます。こうした過程で価値観への共感が深まれば、入社後のギャップが小さくなり、お互いに納得した状態で働き始められる環境につながります。
このように「価値観の共有」を中心に据えた選考こそが、早期離職の予防に役立つのです。
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入社後
ここでは、入社後の対策を紹介します。
オンボーディングの充実
早期離職を防ぐためには、入社直後のオンボーディングを丁寧に行う姿勢が重要です。業務内容を理解する研修だけでなく、企業文化や人間関係を知る機会を用意すれば、新入社員は環境に馴染みやすくなるでしょう。
また、上司や同僚と接する機会を増やせば、働く上での不安を軽減できるため、職場への信頼感も高まります。オンボーディングが充実すれば、適応の早さが向上し、離職リスクを下げる効果が期待できるのです。
定期的な面談・コミュニケーションの場を設ける
定期的な面談も新卒社員の早期離職を防ぐ対策として有効です。定期的な面談を実施すれば、若手社員の悩みを把握しやすくなり、必要な支援を早期に届けられるでしょう。
評価を目的とした面談とは違い、現状の理解を進める場として実施すれば、若手の心理的負担の軽減にもつながります。また、雑談や食事の機会を増やせば、人間関係が円滑になり、職場定着の後押しにつながるでしょう。
ワークライフバランスの確保
若手社員の価値観に合わせ、ワークライフバランスを確保した働き方を提供すれば、定着率の向上が期待できます。
そのため、柔軟に働ける制度をあらためて整えてみましょう。例えば、テレワークやフレックス制度を取り入れれば、私生活とのバランスが取りやすくなり、働き続ける意欲が安定するはずです。
新卒社員の早期離職を防ぐなら「社長メシ」での採用がおすすめ!

新卒社員の早期離職を防ぐなら「社長メシ」を利用をご検討ください。「社長メシ」は、社長と学生が食事を共にしながら本音で語り合える採用マッチングサービスです。企業トップが直接自社のビジョンや文化を語る場を設けられるため、学生との価値観のミスマッチを減らせます。
さらに、学生側から社長にアプローチできるため、ミスマッチを未然に防ぐ効果が高まります。また、社長メシにはインターン募集機能もあり、早期の段階から相互理解を深められるため、入社後の定着率の向上にも貢献するでしょう。

新卒社員の早期離職に関するよくある質問
新卒社員の早期離職は、多くの企業が共通して抱える課題です。ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。
リモートワーク環境での新卒社員の早期離職を防ぐ方法はありますか?
リモート環境で早期離職を防ぐには、オンライン朝会や1on1面談を定期的に実施しましょう。心理的安全性を高められるため、離職防止につながります。
新卒社員の早期離職率は何パーセント位が平均ですか?
一般的に、新卒社員の3年以内の離職率は約30%前後とされています。業種別にみると、宿泊・飲食業や小売業は離職率が高い傾向があります。
早期離職の兆候にはどんなものがありますか?
早期離職の兆候として多いのは、劣悪な労働環境・条件への不満や人間関係です。そのため、企業側は新卒社員の早期を防ぐ対策を実施しなくてはなりません。
まとめ
新卒社員の早期退職を防ぐためには、入社後のフォローだけでなく、入社前の段階でミスマッチを減らす採用設計が重要です。ミスマッチを減らすには、経営者と学生が直接会える「社長メシ」を活用してみましょう。
「社長メシ」なら、学生が企業の理念や社長の想いをリアルに理解できるため、入社後のミスマッチが大幅に減ります。また、企業側も学生の価値観や姿勢を見極めやすく、早期離職につながる不安を軽減できます。新卒採用の質を上げるなら、社長メシを導入してみてはいかがでしょうか。



