サイレント辞退という言葉が近年話題になっています。せっかく内定を出しても、何の音沙汰もなくそのまま音信不通になることがあります。
そこで、この記事ではサイレント辞退をする人の特徴や、サイレント辞退への対策について解説していきます。
また、結論からお伝えすると、こうした事態を避けるために内定者フォローに関しては油断せず取り組むようにしましょう。
サイレント辞退とは?
サイレント辞退とは、就職活動において、求職者が企業から内定を受けた後、何の連絡もせずにその内定を辞退する行為を指します。
この現象は、特にインターネットやSNSの普及により、企業と求職者のコミュニケーションが以前よりも非対面的で、距離感が生まれやすくなっている現代において増加しています。結果として、一社の内定の価値が下がってしまいました。
サイレント辞退が生じる原因と背景
サイレント辞退が生じる原因には下記の3つの原因が想定されます。
それぞれ詳細に解説していきます。
原因①|就職活動の簡易化
最近では、応募から面接までがオンライン化していることが多く、スマートフォンひとつで簡単に就職活動ができるようになりました。
提出書類もデジタル化し、従来のように手書きで書類を作成する手間もなくなり、求職者が一度に応募する企業数も増えています。
このように就職活動が便利になった反面、求職者が応募を気軽なものと考えてしまい、辞退する場合も改めて連絡する必要がないと捉える人がいるようです。
原因②|採用担当者や待遇への不満
面接時に話した内容やメールのやりとりなどから、採用担当者の対応に不満を抱いてサイレント辞退につながるケースもあります。
また、提示されている給与や待遇などの詳細を知り、不満をもちつつも企業側へ伝えられずにサイレント辞退してしまうケースもあるようです。
原因③|企業側によるオワハラの増加
近年、問題となっているのは、企業側によるオワハラです。オワハラとは「就活終われハラスメント」の略称で、内定承諾書をすぐに書くように圧力をかけたり、入社を強要したりする行為が挙げられます。
このように、応募者側が辞退の連絡を入れるとオワハラを受ける可能性があるため、サイレント辞退につながるケースが増えているようです。
原因④|企業側のサイレントお祈りの増加
また、企業側も不採用者には、連絡しないケースが増えています。これは「サイレントお祈り」と呼ばれており、応募者側にとっては次のアクションが取りづらくなることから敬遠されています。
別の企業からサイレントお祈りをされたことがある応募者にとっては、辞退するときは自分から連絡しなくても問題ないという考え方になり、サイレント辞退につながるケースもあるのです。
原因⑤|複数内定を保持する就活生の増加
景気に左右され、内定取り消しの不安や内定先を決めきれないことを理由に、複数の内定を保持する就活生が増加しています。
複数内定を保持することで、もともと志望度があまり高くない企業の場合は、最終的にサイレント辞退するケースも多いようです。
サイレント辞退しそうな応募者の特徴
サイレント辞退しそうな人には、大きく分けてふたつの特徴があります。あらかじめサイレント辞退につながりそうな特徴を知り、対処できるようにしておきましょう。
特徴①|担当者との連絡への回答が遅い
採用担当者と内定者で、定期的に連絡を取り合ってる際に返信が遅い内定者はモチベーションが低くサイレント自体の可能性が高いと言えます。
簡単な出欠確認等で回答が必要以上に遅れている場合は、入社を迷っている状態に近いと考えられるでしょう。
特徴②|内定者イベントでの積極性がない
企業理解を深めてもらうことや内定者の不安解消を目的とした研修を開催した際に、積極性が見られない人は要注意です。
グループ内での発言が乏しく、他者とのコミュニケーションを取りたがらない人は、意欲がない可能性が高いといえます。
また、対面でなくとも内定者サイト内で投稿やコメントなどのアクションが極端に少ない場合も、入社の意思が低いと判断できるでしょう。
サイレント辞退を防ぐための4つのポイント
内定者のサイレント自体を防ぐために必要なのが、内定者フォローになります。内定者フォローを実行する上でのポイントとして下記の3点が挙げられます。
それぞれ詳細に解説していきます。また内定者フォローに関して具体的な実行方法をまとめた資料もご用意しているので、そちらも合わせてご覧ください。
ポイント①|企業と求職者の認識を解消する
企業と内定者の認識のずれから生まれる「不信感」や「不満」から内定者辞退に至ることも珍しくありません。
とくに、下記の点については誤解や疑問、不安な点がないか積極的に接点を持って声かけをするようにしましょう。
- 労働条件
- 業務内容
- 配属先
手厚く声かけをしていれば、不満がある場合も言い出しやすく、迅速にフォローできます。
また、待遇や賞与、残業時間など応募者側から確認しづらい部分は、企業側から積極的に明確な情報を開示すると、応募者側も安心できるのでサイレント辞退のリスクを限りなく減らせるでしょう。
ポイント②|定期的にコミュニケーションをする
定期的なコミュニケーションを取るように心がけることは、応募者との信頼関係の構築に役立ちます。
就職先を決めきれていない応募者にも、定期的なコミュニケーションを図ることで良い印象を与え、自社を選んでもらえる可能性が高くなります。コミュニケーションでもたとえば下記のような手法が考えられます。
- フォローメール
- 内定者イベント
- 配属先面談
また、内定者との接触を目的としたイベントを定期的に開催するのも良い方法です。イベント時には、電話やメールでリマインドするようにしましょう。
定期的にコミュニケーションを取ることは、信頼関係の構築や応募者の不安を払拭するのに効果的です。しかし、意思決定を急かしたり入社を強要したりするような言葉や態度は出さないように注意してください。
ポイント③|企業組織に事前に馴染んでもらう
社員や自分以外の内定者と交流できる機会を設けることで、不安を解消しモチベーションを向上させることが見込めます。この場合は下記のような手法が想定されます。
例えば、社内イベントに招待したりランチ会を開催したりと、実際に会ってカジュアルに交流できる機会があれば、入社後の会社の雰囲気もイメージしやすくなり、安心できる材料になるでしょう。
イベントやランチ会の開催が難しい場合は、内定者同士が気軽にコミュニケーションを取れるように、社内コミュニケーション専用のSNSを用意するのもおすすめです。
ポイント④|諦める
ただ、サイレント辞退をするような内定者はある程度兆候も見えてくるものです。ある程度こちらが誠意を見せてもダメな内定者には見切りをつけましょう。
そして、熱量の高い内定者に対してのケアに比重を移すのが一番の対処法と言えます。
まとめ
サイレント辞退をする人のみが悪いのではなく、企業側に問題があるケースもあります。丁寧な対応とフォローで応募者との信頼関係を築き、応募者の不安をなくすことで辞退を限りなく減らせるでしょう。
「この会社なら安心して働ける」と思ってもらえるような対応を心がけ、優秀な人材を獲得できるようにしましょう。