目次
新卒採用で重要な母集団形成とは?
母集団形成とは、自社へ興味や関心を持つ学生を集めることを言います。この母集団の中から応募や選考へと進む就活生が出ることになるため、母集団の形成は新卒採用の成功を左右する大切なものです。
十分な母集団を確保できなかった場合には選考での選択肢が少なくなり、優秀な人材の獲得が難しくなってしまいます。
しかし、母集団形成のためにとにかく学生を集めれば良いというわけではありません。自社とマッチングする人材でなければ、内定承諾を得られませんし、採用に至っても定着が期待できません。
そのため、母集団には採用ニーズに合った、高い入社意欲を持つ学生を集める必要があります。
新卒採用における母集団形成8つの手法
質の高い母集団を形成するためには、自社の規模や知名度、理念や採用の進捗状況に応じて適切な採用手段を選択することが必要です。
母集団形成には「PULL型」と「PUSH型」の2種類があります。まずは、どちらの方法が自社に合っているかを考えてみましょう。
概要 |
主な採用手法 |
|
PULL型 |
自社の求人に応募してきた人から採用者を選ぶ |
・求人媒体 ・採用HP ・SNS |
PUSH型 |
企業側から求職者にアプローチする |
・採用イベント ・学内セミナー ・人材紹介会社 ・ダイレクトリクルーティング |
この項目では、母集団形成で用いられる、PULL型・PUSH型の手法を8つ紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して最適な手法で採用活動を行いましょう。
求人媒体
求人媒体は、もっとも一般的な母集団形成の手法です。
新卒向けの就職サイトは就活生の大部分が登録・利用しているため、幅広い層への情報発信が可能です。また、採用ページのテンプレートや応募者管理システムが備わっているため、採用担当者の負担が抑えられることもメリットといえるでしょう。
ただし利用企業も多いため、競合企業と差をつけなければ情報が埋もれてしまうおそれがあります。特に知名度の高い会社でない限り、情報が閲覧される機会も少ないため、ほかの採用手法とあわせて進めていくことが必要になります。
採用イベント
合同説明会をはじめとする採用イベントは、広く自社について知ってもらうための有効な機会です。誰でも参加できるイベントからクローズドなものまで、採用活動の進行状況や時期に応じてさまざまな規模のものが実施されています。
採用イベントでは、ブースで学生と直接対話することが可能ですので、興味を持った学生に効果的なアピールができます。
ただし、採用活動は多様化しており、イベントによっては参加する学生が少なく母集団形成につながらないこともあります。イベント内容や集客実績などを見極めて出展する必要があるでしょう。
学内セミナー
学内セミナーとは、大学や専門学校に出向き、自社の理念や事業内容をPRする説明会のことです。大学側が企業ブースを設置し、学生との交流の場を設けてくれることもあります。
学内セミナーはほかの採用手法に比べてコストを抑えられて、ターゲットの学生と直接話せるなど、メリットの多い手法です。
自社特有の業務や社内の雰囲気、業務を通して得られるやりがいなどを学生に紹介できます。知名度が低い中小企業にとって、優秀な人材を獲得する大きなチャンスになるといえます。
ただし、有名な大学は企業からの出展希望が多いので競争率が高いです。そのため、希望を出しても思うように学内セミナーを開催できない可能性があります。
出展希望が通るように、根気強く大学にアプローチして良好な関係を築くことが重要です。また、セミナーの開催までに時間がかかる場合があるので、ほかの手法とうまく組み合わせると良いでしょう。
採用HP
自社サイトに採用HPを設ければ、事業内容や社風など、自由に自社のアピールをすることができ、学生から直接応募を受け付けることができます。学生にしっかりと自社の魅力を伝えたい場合に有効な手法です。
ただし、採用HPへのアクセスは、学生が事前に企業に興味を持っていることが前提のため、ほかの手法と比べると大きな応募数が期待できるわけではありません。活用方法としては、採用イベントやSNSを通じた宣伝と組み合わせる必要があるでしょう。
なお、社内でHPを制作できない場合には構築費用が必要になる点も、念頭に入れておく必要があります。
人材紹介会社
人材紹介会社は、自社の希望条件にあてはまる人材を紹介してもらえるサービスです。
キャリアカウンセラーが介在して紹介を行うため、人材のミスマッチが起きにくく、質の高い応募者を集められる可能性が高いでしょう。内定後の承諾率も比較的高めで、採用業務を効率化できます。
ただし、採用に至った場合、成功報酬として約80万~100万円の手数料が発生します。大量に新卒採用をしたい場合にはコストが大きくなるため、ほかの手法を検討する必要があるでしょう。
リファラル採用
リファラル採用は、在籍社員や内定者から、スキルのある採用候補者を紹介してもらう手法です。選考は通常と同じように実施されます。
リファラル採用にかかるコストは紹介者に支払う紹介料程度です。また、直接紹介のため、自社に合わない人材を採用してしまうリスクやミスマッチの可能性は低く、定着率も高いことがメリットとして注目されています。
ただし、紹介に頼るため、従業員満足度が高いことが前提の手法です。また、紹介は社員の知人や友人に限られるため、母集団形成の効果は期待しにくいでしょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、従来の就活生が企業の求人に応募する形式ではなく、企業側が逆求人サイトに登録している学生にアプローチを行う「攻め」の採用手法です。
ダイレクトリクルーティングでは、スカウトに応じてもらうために自社の魅力を伝える必要があり、通常よりも採用工数はかかります。しかし、逆求人に登録する意欲の高い優秀な学生が多く、条件を指定してスクリーニングができるため、自社の採用ニーズを満たす学生を獲得できる可能性は高いといえます。
ただし、企業に魅力を感じてもらえなければ、次の選考ステップへと進んでもらうことができません。コミュニケーションや相互理解が重要となります。
なお、採用コストは、求人媒体や人材紹介会社を利用するよりも抑えられる傾向にあります。
新卒採用で母集団の形成にお困りなら、ぜひ「社長メシ」をご検討ください。
「社長メシ」は、企業と学生、双方でオファーを送り合うことができる採用マッチングアプリで、母集団形成のサポートにも活用できます。
企業がイベント機能を利用すれば、社長や会社に興味を持った学生から逆オファーが届き、会いたいと思える学生とコンタクトを取って食事会などのイベントを開催できます。参加者は登録情報を確認した上で選択できるため、ミスマッチも起こりにくいことが特徴です。
イベントで採用したい学生がいれば、インターンや選考など次のステップへと誘導することができます。効率良く新卒採用を進めたい採用担当者の方は、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
SNS
InstagramやTwitterなどのSNSを利用したソーシャルリクルーティングも、重要な母集団形成手法です。
最近はSNSから情報を得る学生が増加しています。そのため、定期的に有益な情報を発信するのが企業の認知度を高め、応募意欲を向上させるのに役立ちます。
SNSで気軽にコミュニケーションが取れるため、疑問に回答したり、学生の人となりを把握したりできます。
自社の求人媒体や公式HPと連携させれば、応募要項の周知や応募受付にもなり、宣伝効果も見込めるでしょう。
ただし、SNSの更新が途切れると露出が少なくなるため効果が薄れます。更新スケジュールを組むなど、計画的に運用する必要があります。自社の認知度が高まり、応募獲得に至るまでに時間がかかることもあるので、ほかの手法と併用するのがおすすめです。
新卒採用で質の高い母集団を形成するための5つのコツ
質の高い母集団を形成するためには、採用ターゲット層を明確にし、自社に合った手法で採用活動を進めていく必要があります。以下の5つのコツを押さえ、新卒採用の成功を目指しましょう。
学生の属性を考える
良質な母集団を形成するには、自社の採用ニーズに合った就活生を一定数確保しなければなりません。そのためには、まず自社の採用ニーズを満たす属性を洗い出すことが必要です。
たとえば、特定の学部・専攻、経験値やスキルなどが挙げられるでしょう。属性であらかじめスクリーニングを行うことで、よりニーズに近い母集団を形成できます。
就活スケジュールに注目する
母集団形成には、学生の就活スケジュールに応じたアプローチも必要です。
就活スケジュールは年によって変更になることもありますが、6月の夏インターン募集、10月以降の大学ガイダンス、3月の合同説明会などのタイミングで就職活動が活発化します。
これらのタイミングに合わせて学生の目的に応じた採用活動を実施することで、効果的に母集団を形成することができます。
複数の採用手法を同時並行する
母集団形成にはさまざまな手法がありますが、ひとつの手法に集中して行うとターゲットとなる層が限られてしまいます。たとえば、求人媒体に登録していても、採用イベントには参加しない層もいるからです。
それぞれの採用手法のメリット・デメリットを補うためにも、複数の採用手法を並行しましょう。
ただし、並行数を増やせば良いわけではありません。採用手法の特性や採用担当者の負担などもよく考えたうえで、複数の手法を組み合わせていくことが大切です。
採用市場の動向を把握する
質の高い母集団を形成するには、採用市場の動向を把握することも重要です。効果的な手法は、世の中の動向や求職者の傾向などによって変わるものです。過去に多くの応募が集まった手法が、今回も通用するとは限りません。
毎年採用市場の動向を調査し、どのような母集団形成手法に求職者が集まっているかを把握しておきましょう。
ただし、母集団形成に成功している企業が取り入れている手法が自社にとって最適なものだとは限りません。自社の採用スタイルに合っているかをしっかり検討したうえで、導入を決めましょう。
採用手法ごとにPDCAを回す
多くの企業が効率的な母集団形成のために、複数の手法を併用しているでしょう。このような場合、手法ごとにPDCAを回して分析・改善することが大切です。
手法によって集まりやすい人材や、応募者とのコミュニケーション方法が異なります。どの手法も同じ施策で運用していては、思うような効果が得られません。
そのため、手法別にPDCAを回して各手法の性質を見極め、手法の性質に合った施策を講じることが重要です。
うまくいった方法でも、より効率的に母集団形成できないか、常に評価を行い改善点を探してみましょう。そうして母集団形成に関するノウハウを蓄積していけば、さらに質の高い母集団が形成できるようになります。
まとめ
新卒採用で理想の人材を獲得するには、質の高い母集団の形成が重要です。母集団を形成する方法には、従来の求人媒体のほかにもさまざまな手法があります。まずは採用ターゲット像を明確にし、自社に応じた手法を利用して母集団形成に取り組みましょう。